隣の会社は赤字なのにのんびり。
ウチは黒字なのにシンドイ。
これ、黒字倒産の前兆か・・・
今回は、経営者ならすでに重々ご承知の話。
「黒字倒産」について深堀りしておきます。
その要点は「収支分岐点管理」。
言葉は知っていても
「理屈はあいまい」なのでは?
この機会に
「デッドラインの解像度」を高めましょう。
【基本理解】
黒字と赤字と倒産
会社は、
「赤字で倒産」するわけではなく
「資金が尽きたとき」に倒産します。
仮に「大赤字」が続いても、資金が続く限り会社はずっと生き続けることができます。
それは金融機関等の融資に限らず、様々な支援金や補助金、スポンサーからの資本出資など「なんでもいいです」。

「宝くじ」の大当たりでもいい!
いわゆる「黒字倒産」は、利益が出ているのに、資金が尽きてゲームオーバー。
「倒産」と「黒字赤字」は、
「直接的な関係はない」
まず、この確認しておきます。
【用語注意】
損益分岐点 と 収支分岐点
「黒字倒産」に陥らないための重要な指標に
「損益分岐点」によく似た
「収支分岐点」があります。
その前に「損益分岐点」をおさらい。
一般的に「損益分岐点売上高」が有名です。
黒字と赤字の境目の「売上高」です。
でも、これは危なっかしいので、私は売上高ではなく「限界利益」で計算することをアドバイスしています。
「黒字と赤字の境目の限界利益」が
「損益分岐点限界利益」です。


とはいえ、これは
「損益の指標」であって
「収支の指標」ではありません。
「損益分岐点」をクリアしていても、
「収支分岐点」に足らなければ、資金は減ります。
まず「損益」と「収支」を混同しないように気を付けて下記を読み進めてください。
【資金不足】
勘定合って銭足らず
最近は聞かなくなりましたが
「勘定合って銭足らず」。
昭和の時代にはよく聞いたフレーズです。
このフレーズにはいくつかの解釈があるようですが、この記事では「黒字なのにお金が足りない」ことを指します。
「黒字の会社」は
「儲かってる会社」だから
「資金も潤沢」かといえば?
そうではありませんよね。
私も、税理士時代には
よく「八つ当たり」されたものです(笑)。
- ホリイ「社長!今回の納税は1000万円!」
- 経営者「え!?そんなカネないよ~!」
- ホリイ「利益が出たから当然よ!」
- 経営者「おカネないのに、なんで納税なん!」
【原因事例】
利益と資金がリンクしない理由
「利益の割には手元のキャッシュが寂しい」という感覚は多くの経営者が経験します。
この利益と資金がリンクしない主な原因は「返済」と「在庫」です。
利益以上の返済があったり、在庫が増えると手元のキャッシュはどんどん減っていきます。
簡単な計算例を示すと(税率を40%と仮定)・・・
税引後利益を全部返済に回した
- 税引前利益:1,000万円
- 返済総額:▲600万円
(手元資金400万円) - 法人税等:▲400万円
- これでチャラ!
税引後利益で追加仕入し在庫が増えた
- 税引前利益:1,000万円
- 在庫増加:▲600万円
(手元資金400万円) - 法人税等:▲400万円
- これでチャラ!
この例では、税引後利益相当の資金が流出しています。



手元に残ってる400万円を全額納税することが「理不尽」に感じるんですよね・・・
【盲点弱点】
費用計上されない支出に注意
上記の例では、1,000万円の利益が出ているので「損益分岐点」は充分にクリアしていますが、資金増減はゼロ=トントンで「収支分岐点」はギリギリという状態です。
「費用計上されない支出」があるからですね。
「費用計上されない支出」があると
「収支は損益を下回る」ということになります。
例えば、なんとか損益分岐点をクリアして「損益ゼロ」で持ちこたえたとしても、借入返済が年間600万円あると、手元資金はそれだけ減少することになります。
それが2年続くと1200万円、3年続くと1800万円…
あっという間に資金残高は枯渇し、追加資金を準備できなければ「赤字じゃないのにゲームオーバー」ってことになってしまいます。
「収支分岐点」を計算してみましょう。
計算はメチャクチャシンプルです。
下記AとBの数字が分かればOKです。
- A:年間返済額:****万円
- B:年間減価償却費:****万円
たとえば・・・
- A:年間返済額:1200万円
- B:年間減価償却費:360万円
年間返済額が1200万円だったら、
税引後利益は同額の1200万円必要です。
でも、仮に「減価償却費:360万円」だとすると、その資金は「流出」していません。
だから・・・
「税引後利益:840万円」があれば返済できます。
ということは・・・
法人税等の税率を40%と仮定すると・・・
840万円/(1-40%)=1400万円が
「必達税引前利益」。
つまり「収支分岐点」です。
簡単なキャッシュフロー表で表すとこうなります。
- 税引前利益:1400万円
- 法人税等:▲560万円
- 税引後利益:840万円
- 減価償却費:360万円
- 年間返済額:▲1200万円
- 資金残高:チャラ!
アタマに入れておくのは
「税引後840万円必達!」
この一言だけです。


【必達利益】
黒字倒産から守る収支分岐点
「収支分岐点=必達税引後利益」を下回ると徐々に手元資金は減っていき、追加の資金準備が必要になります。
銀行融資などで、資金調達が続く間は「延命」しますが、同時に「返済額が増える」ので、「収支分岐点=必達税引後利益」のラインは上がっていくという「悪循環」が始まります。
もし、資金調達が途絶え、資金が枯渇したら・・・
その時点で「損益分岐点」をクリアし黒字であっても、ゲームオーバーです。
これが「黒字倒産」です。
言い換えれば
「黒字が返済に追いつかない」。
やることは・・・
「黒字のスピードアップ」と
「返済のスピードダウン」です。
でも・・・
そもそも・・・
災害や想定外の事情を除くと
多くの場合・・・
「黒字を上回る借入をしたこと」に根本的な課題があるものです。
「しんどくなったら借りる」
「借りたら楽になる」
「またしんどくなるから借りる」
「また借りたら楽になる」
「またしんどくなり・・・」
「また借りる・・・」
・・・ジャンキーですね・・・
【要点整理】
キャッシュフローを毎月確認!
「収支分岐点」の計算例を紹介しました。
- 勘定合って銭足らず
=赤字で倒産するのではない - 利益と資金がリンクしない原因の多くは
「返済」と「在庫」 - 収支分岐点の計算例
=正体は「必達税引後利益」 - 黒字倒産しないために
「収支分岐点」の把握と管理が重要
「損益分岐点」を把握している経営者は少なくありませんが、意外と「収支分岐点」を正しく理解している経営者は少数です。
資金に余裕があるときは、気にならないからです。
また、銀行が営業に来てくれている間は「いつでも借りられる」という安心感から、この「収支分岐点」を疎かにしがちです。
業績が良い時=黒字であっても「収支分岐点を毎月チェックすること」を強くオススメします。
お役に立ちますように!






