この記事は「経営の目的と手段」についての、私の考え方を整理したものです。
賛否両論あることは承知していますが、ひとつの考え方として参考にしてみてください。
その結論は「経営目的は、関わる人たちの持続的な幸せ」であって、「利益は、そのための手段」です。
私は、会社を正しく成長させるために、経営者は「利益についての考え方」を整理しておくことがとても大切だと思っています。
本稿は【経営の原理原則】正しい成長のための筋道と道理の補足記事です。
「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けた「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを毎週発信しています。
初めてアクセスしていただいた方は、「このブログについて」をまずご覧ください。
【定義共有】
経営の原理原則
「利益は目的ではなく手段である」とう話は、誤解が生じやすいテーマなので、本題の前に、言葉の定義を先に共有しておきます。
1)経営の原理原則とは
経営の原理原則とは、経営の「筋道」や「道理」を指し、「正しい成長」を持続するために欠かせない基本的な考え方です。
2)正しい成長とは
会社に関わる人たちの幸せが持続するように経営することが、業種や規模に関わらず、すべての会社に共通する「正しさ」であり、これが「目的」です。
3)利益とは?
広義では「有利な条件」や「特別扱い」なども「利益の概念」に入りますが、ここでは、話が複雑化するのを避けるため「会計上の利益」として話を続けます。
計算式で表すと(収益)-(費用)=(利益)という極めてシンプルなものです。
4)幸せとは?
前述した、経営目的である「幸せ」に「決まった形」はありません。
「幸せ」は、極めて個人的な価値観です。
ここでは、難しく考えるのではなく「不幸にしない=イヤな思いをさせない」と、「気持ちに寄り添う」という意味で話を進めます。
【論点確認】目的と手段
「利益は経営の目的ではない」という表現を「利益は、必要ないのか?」と、少々ズレた解釈をされることがあります。
この話は「目的か?手段か?」という「利益の捉え方」の話であり
「必要か?不要か?」を論じることではありません。
「手段」は、「目的」のために必要であり、その「手段」の良し悪しで「目的」の実現が左右されるという関係にあります。
【経営目的】
関わる人たちの幸せ
前述したように、経営の目的は「関わる人たちの持続的な幸せ」です。
この「関わる人たち」とは、3つのグループの人たちです。

- Group1:社外
得意先や取引先を主とする社会 - Group2:社内
社員たちと、その家族や大切な人たち - Group3:ジブン
経営者自身と、その家族や大切な人たち
この記事では、近江商人の「三方良し」との比較で「3Gマネジメント」の詳細を解説しています。
- 「近江商人の三方良し」
- 「世間」
- 「買い手」
- 「売り手」
- 「3Gマネジメント」
- 「社会・取引先・顧客」
- 「社員と、その家族や大切な人たち」
- 「経営者と、その家族や大切な人たち」
簡単に言うと、会社に関わる人たちに「イヤな思いをさせる経営」はやめよう、ということです。
会社は、これら人たちのための道具にすぎない。
これらの人たちが、会社のための道具になってはダメだ、という考え方です。
主役は「人」です。
経営が上手くいかない会社を観察し、その本質的な原因を探ると、そのほとんどは「経営者が経営の目的を忘れたから、または軽視しているから」にたどり着きます。
3つのグループの誰かに「いやな思い」をさせても平気な経営、それが当たり前とする考え方は続きません。
「クレーム」や「取引上のトラブル」、さらに「労務問題」など、その本質的な原因を追究していくと、そのほとんどは「イヤな思いをさせたこと」にたどり着きます。
そのような不都合が、経営の足かせとなり、成長の阻害要因となります。
「経営の原理原則」から逸脱するからです。
筋や道理が通っていないからエラーが起きるのです。
この記事では、次のような内容について、詳しく解説しています。
・「幸せ」に含む2つの意味
・関わる人たちの幸せ
・幸せとは、まず「不幸」でないこと
・会社は小さくても、関わる人たちは多い
・合格:関わる人たちに「イヤな思い」をさせない
・満点:よりよい幸せの機会をさらに増やす
・理想論か?そうではない経験談
【経営手段】
幸せのための利益
前置きが長くなりましたが、本題です。
「利益は、経営の目的ではない=手段である」
「経営の目的は、関わる人たちの幸せである」
だから、なるべく多くの利益が必要なのです。
利益の余裕が無いと、関わる人たちにイヤな思いをさせることが多くなってしまいます。
- 得意先に、より良いサービスや対応をするための余裕
- 仕入先等にも、儲けてもらう余裕
- 社員に、よりよい待遇をしてあげる余裕
- 十分な人員を確保するための余裕
- 将来のために、先行投資する余裕
- 万が一の時に、耐えるための余裕
- 経営者自身が、余計な負担を抱えなくてもよい余裕
主なものを挙げただけでも「余裕を産むための利益が必要」であることが分かります。
利益が十分でないと、これらの余裕を持つことが出来ず、「誰か」にそのしわ寄せがいってしまいます。
つまり「イヤな思い」や「辛い思い」のきっかけになってしまいます。
これが「利益は、幸せのための手段」という意味です。
また、これは「幸せの善循環」を創り出すためにも必要です。
つまり・・・
- 利益の余裕によって
- 関わる人たちの幸せ感が増し
- 会社のために頑張ろうというモチベーションとなる。
- それがまた次の利益を生む原動力となる。
・・・という「善循環」です。
【可能思考】
そんな余裕はないよ・・・
この話には、必ず「理想論として理解できるが…」という意見が出てきます。
その理由は「関わる人たちの持続的な幸せ」と「充分な利益」の両立が簡単ではないからです。
これが経営の難しさでもあります。
実際は「理想と現実の折り合い」を付けることになります。
やむを得ません。
ただし!
「だから、利益を目的にし、人を手段にしていい」という理屈にはなりません。
「両立は理想論だ」というところで思考停止すれば、そこで会社の成長は止まります。
いや、逆転しだすことも少なくありません。
そんな例を山ほど見てきました。
しかし、少しでも理想に近づこうという考えと行動が会社の持続的な成長を支えることになります。
「昨日より、いい会社」をコツコツ続けることが大きな成長に繋がります。
決してあきらめないことです。
関連記事:経営者の可能志向:デキル起点で考えようというマインドセット
【共有効果】
利益の意味をチームで共有
この「利益手段の話」は、ぜひチームの全員で共有してください。
売上や利益を維持したりもっと増やす理由は、それによる余裕でみんなで幸せになることです。
この考え方に共感がないと、仕事が「数字を追いかけること」にしか見えなくなります。
それが続くと、メンバーにとって、数字は「しんどい仕事」「面白くない仕事」になってしまいます。
「みんなでもっと幸せになる余裕を維持するため、あるいは、もっと大きくするために頑張ろう」
この共通目的を共有することで「売上や利益の必要性」、つまり「がんばる意味」が正しく理解できるようになります。
この共有は、チームのパフォーマンスを高めることに不可欠であり、また、効果的です。
【要点整理】
利益の稼ぎ方と使い方
さて、どうですか?
「利益とは何か?」についてまとめました。
- 主役は「人」であり、会社は「道具」であること
- 幸せが「目的」であり、利益は「手段」であること
- 利益が幸せのための「余裕」を生むこと
- 利益の意味をチームで共有すること
- 理想論ではなく「可能志向」で考えること
こうして考えると「利益の稼ぎ方」と同時に「利益の使い方」が非常に重要であることが分かります。
「みんなで稼いだ利益」を「みんなのためにどう活用するか?」
これを考えることも経営者の大切な仕事です。
もし、サポートが必要であれば、いつでも気軽に連絡ください!
以上、お役に立ちますように!