人材が育たない理由は「メンタル」が原因かもしれない

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


「人材育成」がなかなか進まず「何がアカンのやろ?」というような相談を中小企業経営者から受けた時、私が必ずする話のひとつに「メンタルケア」があります。

人が成長するためには、そもそも「成長意欲」が必要であり、これは「前提」です。期待している育成効果が得られないメンバーは、何か他者には言えないメンタル的な問題を抱えていて「成長したいと思わない」あるいは「いま、成長どころじゃない」という状態なのかもしれません。

本稿では、人材育成における「メンバーのメンタルケア」について整理します。

この記事は「中小企業向け人材育成|人が成長する仕組み作りの概要」の補足です。

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人材育成は、本人の「成長意欲」が前提条件

「成長したい」というモチベーションを持った人材に、適切な知識修得や経験の機会を提供すると、人材育成効果を得ることができます。

「成長意欲」×「知識修得や経験の機会」

このマッチングが不可欠であり、とても大切な理屈です。

「成長意欲」があるのに、求める知識の修得や経験の機会がなければ、その人材は「物足りない会社だ」と離れていきます。反対に、どれだけ機会を提供しても、本人に「その気」がなければ空回りしてしまいます。

本稿の話は「後者」です。

会社の仕組みとして、適切な教育機会を設けているのに「笛吹けども踊らず」で、期待する効果がなかなか得られないというケースです。

人材育成は、本人の「成長意欲」が前提条件であり、それが低い場合は「メンタルケア」による解決の可能性を探ります。

「成長意欲」に影響するメンタル

メンタルが「成長意欲」に影響する理由は大きく2つに分けられます。

ひとつは「成長したい」「成長したくない」という直接的な理由です。

もうひとつは「いま、成長どころじゃない」という間接的な理由です。

直接的な理由「成長したいと思わない」

「成長したいと思わない」「成長したくない」というように、成長に対してネガティブに思っている人の、その真の原因は百者百様なのでテンプレートがあるわけではありません。頑なに成長を拒否している強い気持ちもあれば、なんとなくやる気が出ない、という原因不明まで様々です。

このような状態にあるメンバーに「学習機会」を提供しても、ほとんどが「空振り」するため、多くの経営者やリーダーは「やる気がない人だから育成はムリだ」と片づけがちです。

しかし、このようなメンバーであっても「メンタルケア」によって改心してくれる可能性もあるので、ひとりでも救えるなら諦めたり、見放したりしてはなりません。

なぜなら「やる気のある、モチベーションの高い人材」を採用しなければチームパフォーマンスが上がらない、という会社になるからです。そのようなテンションの高い人材をいつでも採用できる抜群の採用力があるなら、それでもいいと思いますが、そうでないなら、採用の難易度が益々上がると思われるこの時代においては「その気にさせ、モチベートできる会社」になる必要があります。

間接的な理由「それどころじゃない」

もう一つ考えられるのは間接的な理由です。

決して、成長したくないわけではないけど「いま、成長どころじゃない」という状態の人です。

それには、様々な理由や原因が考えられます。

  • 失恋した・・・という、極めてプライベートな原因で落ち込んでいるとき
  • 大切な人が、病気や怪我で心配な状態であるとき
  • 自分自身の健康上の問題を抱えているとき
  • 会社での人間関係に問題を抱えているとき
  • なんらかのハラスメントで困っているとき
  • 仕事より優先する「やりたいこと」があるとき
  • などなど・・・

「成長」に優先する「何らかの問題や心配事」を抱えているケースです。

このタイプの人は、この「間接的な理由」さえ取り除いてあげれば、再び成長モードにスイッチする可能性があるので、それに気付いてあげて、個別具体的に「ケア」することが必要です。

時と場合によっては「メンタルケア」以上に「メンタルヘルス」の問題に発展するケースも珍しくないため「メンバーの健康管理」という意味でも、軽視することは禁物です。

「経営者自身が話しやすいリーダー」となる

このように、人材育成には「成長機会を提供すること」と並行して「メンタルをケアすること」が大切です。

「ケア」とは成長の障害を取り除くことですが、まずは「成長意欲を阻害している原因や理由に気付いてあげること」です。

成長が遅いメンバーに対して「能力が原因」と短絡的に結論付けることなく、成長が遅い原因は何か?ということについて真実を知る取り組みが必要です。

そのためには「話しやすいリーダーと面談する時間」を設けることです。

ポイントは「話しやすい人ならだれでもいい」ということではありません。経営トップに正しい情報が届かないと意味がないからです。「聞いてあげる」という課題発見と、「ケアする」という解決策はセットです。

比較的規模が小さい中小企業にあっては、経営者自身が「話しやすい社長」となって、直接聞いてあげることが大切であり、また、即効性があります。中には「誰にも言わないでほしい」という理由かもしれません。「秘密を守れる決裁権者」という意味で、経営者本人がもっとも適切です。

原因の内容によっては、解決を専門家に委ねないといけないケースもありますが、それとて「外部専門家に委ねる」という意思決定が必要であり、そのために直接聞くことが大切だからです。

ケース別対処法の一例

「成長意欲を阻害している原因」が分かれば、可能な範囲で「ケア」することになります。

上記のような例の場合の「一例」を示しておくので参考にしてみてください。

  • プライベートな原因で落ち込んでいるとき
  • 大切な人が、病気や怪我で心配な状態であるとき

このようなプライベートな問題を抱えている場合は、会社としてサポートできることは無いか?と聞いてあげると同時に「待ってあげる」ということが本人にとってもっとも安心できるかもしれません。

  • 自分自身の健康上の問題を抱えているとき

適切な治療の機会と、時間を与えてあげることが必要かもしれません。

  • 会社での人間関係に問題を抱えているとき
  • なんらかのハラスメントで困っているとき

これは、本人の問題というより、会社の問題なので「経営者が原因」です。早急に解決する必要がありますね。

  • 仕事より優先する「やりたいこと」があるとき

そもそも「この会社で何がやりたい?」「将来はどうなりたい?」というヒアリングになります。最近は、生き方の多様性が認められる時代ですから「会社で成長するべきだ」というような「べき論」はだんだん通用しなくなっています。経営者の考え方次第で解決策は変わるでしょう。

ご承知のとおり、これらはほんの一例に過ぎません。個別具体的な「メンタルケア」が必要です。

まとめ

さて、どうですか?人材育成におけるメンタルケアについて紹介しました。

複雑で奥が深いテーマだけに、簡単に書くことは少々躊躇ったのですが、人材育成の前提に「成長意欲」という極めて個別なメンタルが重要なので、意識してもらうきっかけになればいいな、という思いでまとめました。

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