経営者の時間感覚|1.2倍速で考える効果

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


おはようございます!

2024年第50週、いよいよ押し詰まってきましたね。いいフィニッシュができそうですか?

中には私みたいに「今年も消化不良やったな」と感じている人がいるかもしれませんが、今週は「時間」について私の最近のマイブームの話を紹介します。

私は「ヒト・モノ・カネ」に「トキ」を加えてよく話をするのですが、この「トキ」についての話です。

「時間の有効活用」には「(ムダ等の)削減で時間を創出する」という考え方と「(効率を高める等)短縮で時間を創出する」というように、大きく「削減の方法」と「短縮の方法」がありますが、今日は「短縮の話」です。

先日、たまたま「倍速」というキーワードが思いついたので、「1.2倍速で生活したらどうなる?」と試算してみたら、けっこう興味深い結果だったので、その共有です。「経営脳:時間感覚」にとって参考になると思います

(関連記事)「ヒト・モノ・カネ」に「トキ」を加える話

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【時間の重要性】ヒト・モノ・カネ・トキ

伝統的なフレームワークである「ヒト・モノ・カネ」が定番になった時代は、今に比べたらインターネットもなく、まだのんびりしてたと思うのですが、その後、デジタル技術の発展過程では「ドッグイヤー(*)」という言葉が流行ったり、どんどん感覚的な時間のスピードは増すばかりで、今や「トキを制する者がすべてを制する」と言っても過言でないくらい「せわしない時代」になりました。

そのスキキライを問わず、会社経営において「トキ・時間」は平等に与えられた「経営資源」であり、人材や資金と同様、その有効活用はとても重要なテーマであり、私は「ヒト・モノ・カネ・トキ」と言うようになりました。(最近は「ジブン」も加えて5つになりましたが・・・)

実際、順調な経営者を観察していると、そのほとんどが「トキ」をとても大切にしています。

*ドッグイヤー:Dog Year

「ドッグイヤー(Dog Year)」とは、技術やトレンドの進化が非常に速い業界や分野で、時間の流れが通常よりも速く感じられることを指す表現です。これは「犬の1年が人間の7年に相当する」という考え方に由来しており、西暦2000年前後に流行ったワードです。

(参考記事)「ヒト モノ カネ」に「トキ」を加えて、さらに5つ目「ジブン」の話

【有効活用の定義】時間を成果に結びつけること

「時間の有効活用は大切だ」と、ほとんどの経営者は口を揃えます。

しかし、「ホンマかいな?」と意地悪な私は思っています。

せいぜい、それは「自分なりに」のレベルで「最短ルートで移動してるよ」とか「食べるの速いよ」とか、さらには、自分のことは棚に上げて「社員にはうるさく言ってるよ」って感じです。

分かってるはずなのに、本当に時間の有効活用について「積極的な工夫」をしている人は、案外少数派です。

「時間の有効活用」は、実は「スキキライ」があります。

「せっかちな人」と「のんびりした人」では、時間の有効活用のレベル感や方法論、さらには優先順位に対する考え方が違います。

「のんびりしてたら置いてけぼりになるよ!」という人もいれば、「急いては事を仕損じる」と反論する人がいる、って具合です。

ここで大切なのは「無目的に時間を節約する」という話ではないということです。

「有効活用」とは、「時間を成果に結びつけること」であり、成果のために「じっくり時間をかける」ことも「有効活用」なので、「時間をただ短縮する話」ではないので、この先を読んでいただくにあたって注意してくださいね。

【思考習慣の改善】時間の工夫はできないか?

本稿の趣旨である「1.2倍速」というのは「同じ成果なら短い時間の方がオトクやん」というシンプルな発想です。

「1.2倍」の計算の細かい話はどうでもよく、同じ時間なら20%増しの成果、または、同じ成果を80%の時間でというように感覚的に考えます。

例えば、移動に1時間必要な目的地に20%短縮して約50分で到着すれば、10分の余裕が生まれます。この10分でニュースを見ることができたり、ドリンクを飲めたり、あるいは、何もしなくても心に余裕ができたり、その選択は「20%の投資対効果」です。

10分のために危険が増したり、効果以上のコストが発生したりするなら考えモノですが、ここで伝えたいのは、この「考えモノ」すらしてないのでは?ということです。

大切なのは「時間を有効活用しよう」というマインドセットであり、思考習慣です。

20%かどうかは別にして「ちょっと速めに歩く」「ちょっと速めに読書する」「ネットもさっさと閲覧する」など、日常生活の中で「時間短縮の工夫できないか?」と常に意識し、考えることがとても重要です。

【時間コスト】自分の「時給」を計算してみる

あなたは「自分の時給」を知っていますか?

簡単に計算してみましょう。

  • 役員報酬:100万円/月
  • 出勤日数:30日/月(経営者感覚って毎日仕事でしょ?)
  • 勤務時間:15時間/日(ずっと仕事のことを考えているでしょ?)

この条件であれば下記の計算になります。

(100万円*1.15)/(15*30)=2,500円

*1.15というのは、社会保険の会社負担分を約15%と見積もっています。

ちなみに「週休2日=仕事は完全に忘れてる」という計算であれば、勤務日数20日/月計算で約@3,800円になります。

毎日1時間の節約ができれば@2500円*30日=約75,000円、年間で約90万円となります。@3,800円で計算すれば、年間で約140万円です。これは、約1か月分の報酬額相当です。毎日2時間の節約ができれば、この倍ですね。

この金額を時間コストとして大きいと感じるか?それとも小さいと感じるか?は、それぞれですが「知っておくこと」で、時間の有効活用の「自分なりの感覚」を高めるヒントのひとつになると思います。

【内部留保への効果】セコイ話ではないはず

上記の「時給計算」を見てどうですか?「ケチケチしたセコイ話やん!」と思った人もいるかもしれません。

では次に、会社経営において超重要テーマである「内部留保」の試算をしてみましょう。

「1.2倍速」を目標達成に当てはめると「20%前倒しで達成する」ということになります。

年間目標利益を1,200万円として、これを10カ月でクリアすると@120万円/月ペースです。

今期の利益目標は、10カ月目で達成です。

残り2か月も同じペースなら、1,440万円です。

ここで大切なのは「考え方のプロセス」です。

「目標を1.2倍に設定する」ということではなく、「目標達成を20%前倒しする」という考え方です。

結果は同じですが「時間で考える」というこのプロセスです。

もし、これが功を奏して「1.2倍速での目標達成」を5年続けることができれば、どうなるか?

  • 100万円*60カ月*税引後60%=3600万円
  • 120万円*60カ月*税引後60%=4320万円

60カ月必要なところ、48カ月でクリアするので「1年分」が浮いて「1.0倍速の6年分」の内部留保が可能です。

計算結果だけを見ると「あたりまえやん」ですが、「この視点で考えること」が大切であり、決して「セコイ話」ではないはずです。

【チェックリスト】1.2倍速でできそうなこと

この「1.2倍速思考」は、販売業、製造業、その他の業種によって、やることは様々ですが、単純に考えて「回転数を高めれば?」「生産量を増やせば?」「営業エリアを拡大すれば?」そのために時間活用の改善点は?工夫できることは?と「時間で考えてみること」で今までに気付かなかったアイデアや課題が出てくる可能性が高まります。

「1.2倍速思考」は、上述したように「20%の時間削減=80%に時間削減」できないか?を考えることです。

「時間では考えたことがなかった」というところにヒントやチャンスが埋もれている可能性があります。

例えば、「削減する方法」も含めて、下記のように考えてみてください。

  • やめてもいい仕事はないか?
  • 頻度や回数を減らせる業務はできないか?
  • 同じ時間で販売量・生産量を1.2倍にできないか?
  • 会議時間を20%短縮できないか?
  • 月次決算を20%早く出力できないか?
  • 勤務時間を20%削減、圧縮できないか?

【思考展開】1.2倍速は「週休3日制」に通ずる

ちなみに、「週5日」の20%は「1日」です。

つまり、同じ成果、同じ待遇で「週休3日制」に移行する際には必ずクリアしなければならない問題でもあります。

まだ、今は一般的にはなっていませんが、中小企業においても、いずれ「週休3日制」の話が議論される時が来ると思います。

その賛否については、それぞれの事情もあって様々な意見がありますが、今後の人材不足と採用難を見通すと「対応せざるを得ないトキ」が来るやもしれません。

「時間の有効活用」は、クセや習慣が大きく影響するテーマだけに、一朝一夕にはできないものです。

目の前の「1時間」「1週間」と同様、「中長期」も「時間」です。

「そのトキ」に備えること、つまり「中長期の時間活用」という視点も忘れないようにしましょう。

(参考記事)備忘録:中小企業の「週休3日」を考えてみたら「アリ」だった

まとめ

さて、どうでしょう?結果として「せわしない話」になったかもしれませんが、「1.2倍速で考えること」について整理しました。「1.2倍速」は、短期的には小さく感じるかもしれませんが、中長期的には意外と効果が大きなものです。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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