(関連記事)「ヒト・モノ・カネ」に「トキ」を加える話
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【価値確認】
ヒト・モノ・カネ・トキ
伝統的なフレームワークである「ヒト・モノ・カネ」。
これが定番になった時代は、今に比べたらインターネットもなく、まだのんびりしてたと思います。
その後、デジタル技術の発展過程では「ドッグイヤー(*)」という言葉が流行ることもありました。
その後も、どんどん感覚的な時間のスピードは増すばかりで、今や「トキを制する者がすべてを制する」と言っても過言でないくらい「せわしない時代」になりました。
そのスキキライを問わず「トキ・時間」は平等に与えられた「経営資源」です。
人材や資金と同様、その有効活用はとても重要なテーマです。
それもあって、私は「ヒト・モノ・カネ・トキ」と言うようになりました。
(最近は「ジブン」も加えて5つになりましたが・・・)
実際、順調な経営者を観察していると、そのほとんどが「トキ」をとても大切にしています。
「ドッグイヤー(Dog Year)」とは、技術やトレンドの進化が非常に速い業界や分野で、時間の流れが通常よりも速く感じられることを指す表現です。これは「犬の1年が人間の7年に相当する」という考え方に由来しており、西暦2000年前後に流行ったワードです。
(参考記事)「ヒト モノ カネ」に「トキ」を加えて、さらに5つ目「ジブン」の話
【有効活用】
時間を成果に結びつける
「トキ」を大切にする。
つまり「時間の有効活用」。
有効活用とは「時間を成果やメリットに変えること」です。
成果のためには「じっくり長い時間をかける」ことが必要なときもあります。
反対に、成果がないのに費やす時間は「ムダ」になります。
- Aさん:ランチは、混雑したお店で15分。特別美味しいわけでもなく、単に空腹を満たしただけ。
- Bさん:気の合う仲間と情報交換しながら、美味しいランチを60分楽しんだ。
- Aさん:実は、ランチは15分で済ませて、残りの45分は読書やウォーキングをしてる。
時間の有効活用とは、長い・短いの話ではなく「どう使うか」の話。
時間をムダにせず、成果やメリットにつなげる。
これが「トキを大切にする」の意味です。
【習慣改善】
時間を工夫して余裕を生む
「同じ成果なら、短い時間のほうがオトク」
シンプルな考え方です。
細かい計算は置いておきましょう。
感覚的に言えば、
- 同じ時間で20%多くの成果を出す
- 同じ成果を80%の時間で達成する
どちらも「時間の有効活用」につながります。
たとえば、移動に1時間かかる目的地に50分で到着できれば、10分の余裕が生まれます。
この10分をどう使うか?
- ニュースをチェックする?
- コーヒーを飲んで一息つく?
- 何もせず、心の余裕を持つ?
時間を短縮することで、新たな選択肢が増えます。
「時間の有効活用を考える」という思考習慣。
20%にこだわる必要はありません。
- 少し速く歩く
- 少し速く読む
- SNSもサッと済ませる
こうした「ちょっとした工夫」を意識するだけで、日常の中に余裕が生まれます。
時間は増やせません。でも「使い方」は変えられます。
【換金価値】
自分の「時給」を計算してみる
あなたは「自分の時給」を知っていますか?
簡単に計算してみましょう。
- 役員報酬:100万円/月
- 出勤日数:30日/月(経営者感覚って毎日仕事ですよね)
- 勤務時間:15時間/日(ずっと仕事のことを考えていますよね)
この条件であれば下記の計算になります。
(100万円*1.15)/(15*30)=2,500円
*1.15というのは、社会保険の会社負担分を約15%と見積もっています。
ちなみに「週休2日=仕事は完全に忘れてる」という計算であれば、勤務日数20日/月計算で約@3,800円になります。
毎日1時間の節約ができれば@2500円*30日=約75,000円、年間で約90万円となります。
@3,800円で計算すれば、年間で約140万円です。
これは、約1か月分の報酬額相当です。
毎日2時間の節約ができれば、この倍ですね。
この金額を時間コストとして大きいと感じるか?それとも小さいと感じるか?は、それぞれです。
しかし、「知っておくこと」で、時間の有効活用の「自分なりの感覚」を高めるヒントのひとつになると思います。
【留保効果】
セコイ話ではないはず
上記の「時給計算」を見てどうですか?
「ケチケチしたセコイ話やん!」と思った人もいるかもしれません。
では次に、会社経営において超重要テーマである「内部留保」の試算をしてみましょう。
「1.2倍速」を目標達成に当てはめると「20%前倒しで達成する」ということになります。
年間目標利益を1,200万円として、これを10カ月でクリアすると@120万円/月ペースです。
今期の利益目標は、10カ月目で達成です。
残り2か月も同じペースなら、1,440万円です。
ここで大切なのは「考え方のプロセス」です。
「目標を1.2倍に設定する」ということではなく、「目標達成を20%前倒しする」という考え方です。
結果は同じですが「時間で考える」というこのプロセスです。
もし、これが功を奏して「1.2倍速での目標達成」を5年続けることができれば、どうなるか?
- 100万円*60カ月*税引後60%=3600万円
- 120万円*60カ月*税引後60%=4320万円
60カ月必要なところ、48カ月でクリアするので「1年分」が浮いて「1.0倍速の6年分」の内部留保が可能です。
計算結果だけを見ると「あたりまえやん」ですが、「この視点で考えること」が大切であり、決して「セコイ話」ではないはずです。
【可能志向】
1.2倍速でできそうなこと
この「1.2倍速思考」は、販売業、製造業、その他の業種によって、やることは様々です。
- 商品回転数を高めれば?
- 生産量を増やせば?
- 営業エリアを拡大すれば?
そのために時間活用の改善点は?工夫できることは?と「時間で考えてみること」です。
今までに気付かなかったアイデアや課題が出てくる可能性が高まります。
「1.2倍速思考」は、上述したように「20%の時間削減=80%に時間削減」できないか?を考えることです。
「時間では考えたことがなかった」というところにヒントやチャンスが埋もれている可能性があります。
例えば、「削減する方法」も含めて、下記のように考えてみてください。
- やめてもいい仕事はないか?
- 頻度や回数を減らせる業務はできないか?
- 同じ時間で販売量・生産量を1.2倍にできないか?
- 会議時間を20%短縮できないか?
- 月次決算を20%早く出力できないか?
- 勤務時間を20%削減、圧縮できないか?
【思考展開】
1.2倍速は「週休3日」に通ずる
ちなみに、「週5日」の20%は「1日」です。
つまり、同じ成果、同じ待遇で「週休3日制」に移行する際には必ずクリアしなければならない問題でもあります。
まだ、今は一般的にはなっていませんが、中小企業においても、いずれ「週休3日制」の話が議論される時が来ると思います。
その賛否については、それぞれの事情もあって様々な意見があります。
しかし、今後の人材不足と採用難を見通すと「対応せざるを得ないトキ」が来るかもしれません。
「時間の有効活用」は、クセや習慣が大きく影響するテーマだけに、一朝一夕にはできないものです。
目の前の「1時間」「1週間」と同様、「中長期」も「時間」です。
「そのトキ」に備えること、つまり「中長期の時間活用」という視点も忘れないようにしましょう。
(参考記事)備忘録:中小企業の「週休3日」を考えてみたら「アリ」だった
【要点整理】
中長期視点での価値判断
さて、どうでしょう?
「せわしない話」だたかもしれませんが、「1.2倍速で考えること」について整理しました。
「1.2倍速」は、短期的には小さく感じるかもしれませんが、中長期的には意外と効果が大きなものです。
- 【時間の重要性】ヒト・モノ・カネにトキを加えること
- 【有効活用の定義】時間を成果に結びつけること
- 【思考習慣の改善】時間短縮の工夫はできないか?
- 【時間コスト】自分の「時給」を知っておくこと
- 【内部留保への効果】セコイ話ではないこと
- 【チェックリスト】1.2倍速でできそうなこと
- 【思考展開】1.2倍速は「週休3日制」に通ずること
関連記事も含め参考にしてみてください。
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