盲点?「会計力」の前に「算数力」が必要な話

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


「バカにするな!」とお叱りを受けそうな「算数の話」を念のために整理しておきます。

「マネジメント会計(管理会計)」は「課題発見」と「課題解決」にとても有効なツールですが、そもそも、そこに示されているデータを正しく読解しなければ「宝の持ち腐れ」になってしまいます。そこで必要なのが「算数力」です。特に「%表示」されている「割合計算」はとても重要です。

この記事では「割り戻し計算」や「割合の平均」など、簡単だけど間違いやすい計算例を紹介するので、あなたの「算数力」をセルフチェックしてみてください。意外と・・・かもです。

この記事は「中小企業向け|マネジメント会計(管理会計)の設計と運用の概要」の補足です。

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いきなりですが「問題」です!

「マネジメント会計(管理会計)」を活用ための「算数力」をチェックする計算例を示します。「バカにしてんのか!」と言わず、下記の3問を「暗算」してみてください。

  • (第1問)
    仕入れ原価80円の商品、20%の粗利を得るために「売値」はいくらにすればいい?
  • (第2問)
    年商10億円の前期の純利益率は1%でした。金額にするといくら?
  • (第3問)
    先月の利益率は30%、今月の利益率は40%でした。さて、2カ月累計の利益率は?

さて、どうですか?

もし「瞬間で答えが頭に浮かんだ!」というあなたは以下、これ以上読まなくていいです。でも「ん?ちょっと迷った・・・」というあなたは続きを読んでください。

解答

第1問:仕入原価80円の商品、20%の粗利を得るための「売値」

利益率が20%なので、原価率は80%。だから「80円÷80%=100円」ですね。

第2問:年商10億円の純利益率は1%。金額にすると?

シンプルに10億円×1%=1,000万円、ですよね。

「大きい桁数」に弱い方は、まず「10%」を思い浮かべるといいですよ。

10億円×10%=1億円だから・・・

もうひとつゼロを取ると・・・

1,000万円!って感じです。

第3問:先月の利益率は30%、今月は40%。2カ月累計の利益率は?

(30%+40%)÷2=35%・・・ではないですよねw

引っかかりませんでしたか?

正解は「わからない」です。

利益率を計算する「分母・分子」が分からないからです。

例えば・・・

先月今月累計
売上1,0001,0002,000
利益300400700
利益率30%40%35%

これは「たまたま35%」ですが・・・

先月今月累計
売上1,0002,0003,000
利益3008001,100
利益率30%40%36.6%

これは35%になりません。

つまり、累計の平均値は、売上と利益の累計で割り算しなければなりません。

「%を平均する」のではないので要注意!

意外と、このミスをする人、多いです。気を付けましょう。

さらに・・・

  • 毎月売上1%アップを続ければ5年で何倍になる?
  • 毎年1社の顧客紹介が続けば?
  • 毎日10分短縮すれば年間で何時間を捻出できる?
  • 毎月1回、会議を1時間短縮すれば?
  • 経常利益1000万円は多いか?少ないか?

・・・などについても、計算サンプルを紹介しているので、併せて参考にしてみてください。

(関連記事)経営者の数字感覚を磨く「意外な計算結果」のサンプル

マネジメント会計の定番フレーズ集

マネジメント会計(管理会計)を有効活用している会社の会議では、次のようなフレーズがよく飛び交います。もし「???」と不安を感じるようであれば、会計の前に算数をおさらいしましょう。(意外と不安な経営者が多いので恥ずかしくないですよ)

  • 売上高を**%アップすれば、経常利益は2倍になるね。
  • 限界利益率を1%改善するだけで、経常利益は**万円アップだ。
  • 人件費を5%アップすれば、経常利益は**%ダウンか・・・。
  • 固定コストが毎月1,000万円なので、限界利益率が20%なら損益分岐点売上は5,000万円だね。
  • 本社経費が毎月1,000万円なので、各部門には**%配賦する必要があるね。

あと、付け加えておくと「売上高は、前年比120%の増加です!」という報告も意外と多いのですが、「それって、20%の増加って言いたいのでは?」です。どうしても120%と言いたいのなら「売上高は、前年比120%です!」が正解ですね(笑)。

まとめ

さて、どうですか?大丈夫でしたか?

「算数力」が弱いと、せっかくの「マネジメント会計(管理会計)」も宝の持ち腐れとなってしまいます。

「会計に強い経営者」になるために「算数力は大丈夫か?」、こっそり確認してみてください。

万が一「ヤバッ!」と冷や汗が出た人は、簡単な「計算ドリル」をやってみるといいです。もちろん「暗算」で。プライドが邪魔する人がいるかもしれませんが「いっときの恥」より「一生の恥」の方がカッコ悪いですよね。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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