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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。
中小企業における「アンバランスな給与」を「業績連動型賞与」で是正する方法を紹介します。
このブログで紹介している「業績連動型賞与」は「月給とは切り離して賞与を計算すること」を前提としていますが、給与賞与の制度に課題が多い中小企業の場合は「年俸ベース」に変更することで月給の不公平を是正することが可能です。
「こんな考え方もある」と、ひとつの選択肢として参考にしてみてください。
この記事は「業績連動型賞与の仕組み作りの概要」の補足です。
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月給が公平でない?「公平」って?
月給がアンバランスな状態とは、言い換えれば「公平ではない状態」のことです。
人事制度や給与賞与の制度が整備されていない中小企業の場合は、様々な理由や事情によって「公平な月給」になっていないことが少なくありません。
ただ、そもそも「何が公平か?」という「公平の定義」については、様々な考え方があり「こうあるべきだ」と決めつけるわけにいかないのですが、私が今まで出会った中小企業の経営者が考える「公平」には、下記のようなものがありました。
- 年功序列を公平とし「年齢給」が必要とする考え方
- 月給は後輩より先輩の方が多いのが公平なので「勤続給」が必要とする考え方
- 成果のみで評価することが公平なので「年齢給」や「勤続給」は不公平とする考え方
- 独身かどうかで差がつく「家族手当」は不公平とする考え方
このように様々な「公平」がありますが、そえぞれの経営者の考えに沿って月給のアンバランス=不公平を是正するひとつの方法として「年俸ベース」を紹介します。
アンバランスになっている事例
上述したように、人によって様々な考え方がありますが、多くの経営者は「正しい評価が反映された月給」を「公平」と考えています。私もその考え方です。スキルや成果を正しく評価し、それが月給に正しく反映されることが「公平」だと思っています。
ところが、様々な事情で「不公平」になっていても「減給できない」等の理由でこれを是正することが難しいケースがあります。
- 明確な人事評価制度がないので、実際の評価は下がっているのに減給できない(=評価に対して高い月給を支払ってる)
- スキルや成果のみを月給に反映したいが、それとは別の「年齢給」「勤続給」「家族手当」など「やめられないルール」がある
- 入社時に「前職の月給保証」をしたので下げられない
これらが公平でない月給の「よくあるケース」です。
ここで紹介する「年俸ベース」は、これらの「不公平」を「賞与」で調整して是正する、という考え方です。
「年俸ベース」の計算例
まったく評価が同じAさんとBさんを例に説明します。
- Aさんの月給:30万円×12カ月=年額360万円
- Bさんの月給:40万円×12カ月=年額480万円
このように、同じ評価なのに何らかの理由で月給に差があって「不公平」な状態とします。
このケースにおいて、次のふたつの方法を見比べてみてください。
(その1)月給とは別に賞与を計算する方法
両者の評価が同じなので、賞与もともに100万円になったとします。
そうすると・・・
- Aさんの年俸:月給年額360万円+賞与100万円=年俸460万円
- Bさんの年俸:月給年額480万円+賞与100万円=年俸580万円
というように、「賞与は同額なので公平」ですが「月給不公平」は是正されず、両者の年俸には差が残ったままです。
(その2)年俸ベースで計算する方法
例えば、AさんBさんの評価で年俸を計算したら、同じ評価なので両者とも500万円になったとします。
そうすると、両者の賞与は・・・
- Aさん:年俸500万円-月給年額360万円=賞与140万円
- Bさん:年俸500万円-月給年額480万円=賞与20万円
というように、AさんはBさんの7倍もの賞与を受け取ることになります。
「賞与はいくら」と、個別に計算するのではなく、「年俸」を計算して、そこから支給済みの月給を差し引いて「おつり」として計算する考え方です。
さて・・・「公平かどうか?」です。
同じ評価の両者が、ともに年俸500万円なので「公平だ」と考えますか?
それとも「いや、賞与で7倍もの差がつくのは公平でない」と考えますか?
まとめ
さて、どうですか?年俸計算でアンバランスな給与を是正する基本的な計算例を紹介しました。
実務的には、諸規定の変更や、様々な事情によって細かなチューニングが必要になることが多いのですが、私はこの「年俸計算がいちばん公平」と思っています。
関連記事も含め参考にしてみてください。
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