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  2. 中小企業の組織戦略
  3. 6部-分配編
  4. 01:成果分配の概要|業績連動型賞与の「ざっくり」

01:成果分配の概要|業績連動型賞与の「ざっくり」

2026 3/29
2025年11月11日2026年3月29日
H.HORII

「みんなで稼いで、みんなで分かち合う」
理想の「業績連動型賞与」
もう賞与で悩まなくていい!
さて、やる?やらない?

10人~200人規模の中小企業経営者の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
初めてアクセスしていただいた方は、「このサイトについて」をまずご覧ください。

「組織戦略」の「5つの要素(組成・採用・育成・評価・分配)」の5つめ、「分配」の概要について整理します。

給与と賞与、つまり「お金の話」なので、とてもデリケートなテーマです。

上手に運用できれば、想定以上の効果を得ることができますが、その反面、運用をミスると、最悪の場合、チームが崩壊するほどのダメージを受けます。

このカテゴリーで紹介する「業績連動型賞与」は、そんな「ハイリターン・ハイリスク」の仕組みです。

「サラッと流す」ことなく、あなたの諸事情に照らし合わせて
「考えながら読み進めて」くださいね。

INDEX

【軸足確認】
組織戦略としての成果分配

本題に入る前に「なんの話か?」を確認しておきましょう。

「成果分配」は、
「ヒト戦略」と
「カネ戦略」の両方に関わる話。

単に「給与や賞与の計算の仕方」というような「計算実務の話だけではない」ことを最初にお伝えします。

「経営戦略」の中の
「組織戦略:
分配」の位置付けについて
「おさらい」が必要なら、ここをクリック。
(必要なければ、次に進みましょう)

「戦略」とは、
「成功するためのヒトモノカネの仕組み」のことです。

「成果分配」は、「組織戦略」の一部、
「組織戦略」は、「経営戦略」の一部。

つまり、
「成果分配」は
「経営戦略」の一部であり、
「経営目的を実現するための仕組み」といえます。

あわせて読みたい
中小企業の組織戦略|「やたら組織に強い経営者」になればいい 最高のチームを作る中小企業のための組織戦略「人的資本経営」を実践するための「5つの重要視点」 「もっといい会社」にするために「もっといいチーム」にしたい。 そ…

【視点転換】
みんなで「稼いで分ける」

私が紹介する
「業績連動型賞与」の基本コンセプトは、
「みんなで稼いで、みんなで分ける」です。

チームメンバーのそれぞれが、協力しあって得た「成果」。

この「成果」をどう分けるか?

念押ししますが
「みんなで稼いだ利益をみんなで分ける」です。

「会社の利益から支払う」のではありません。

ましてや「社長の財布から」なんて大きな勘違い。

たくさん稼げば「分け前」はたくさん。

稼ぎが少ない時は「分け前」も少ないし
「ゼロ!」もあり得る。

チームの全員が「成果の当事者」だからです。

(もちろん、赤字の時は「社長が全責任を負う」)

私の会社では
「給与や賞与をもらって、ボクに礼を言うのは間違ってる」とよく諭していました。
「給与や賞与を受け取れたときのお礼は、みんなに」と。
会社に関わる社内外の人たちのおかげだから。
だから、お互いに「ありがとう」が筋。
「社長にありがとう」ではない。
もし、どうしても私に何か言いたいのであれば、
「こんなメンドウな仕組みを設計して、運用していること」を褒めてくれ。
…と笑っていたことが、今はいい思い出です。

さて、「成果分配のコンセプト」、伝わりましたか?

ひょっとしたら「視点」が違ったかもしれませんね。

では、この「メンドウな仕組みと運用の概要」について、続けます。

【仕組概要】
「ざっくり」イメージ

「成果分配」の仕組みを「ざっくり」と俯瞰しましょう。

これは、基本的に「賞与の話」です。

なぜなら「給与」は「生活保障給」なので、会社の業績に関わりなく支払う必要があるからです。

それに対して「賞与」は「利益分配」なので、業績次第です。

*例外的に給与も業績連動させることがありますが、それは応用なのでここでは触れません。

これを「人的資本経営」の思想に照らして表現すると、次のようになります。

「人材に投資」
→「業績成果は投資のリターン」
→「業績成果の還元」。

その計算方法の「基本形」はシンプルです。

  • 「山」の計算
    「成果」×「分配率」=「賞与総額」
  • 「山分け」の計算
    「賞与総額」×「貢献率」=「各人の賞与」

これは「人事の仕組み」なので、次のような注意点があります。

  • 「成果分配のルール」は公表され、
    メンバーは正しく理解しているか?
  • 「成果とは何か?」が定義され
    「計算できる指標」で表現されているか?
  • 「分配率」「貢献率」の計算ルールは
    公平公正か?
  • 「貢献」を評価する「人事評価」は
    適正に運用されているか?

この「仕組み」がなければ
「社長の気持ち」で賞与が決まります。

この「仕組み」があれば、
「公開ルール」で賞与が決まります。
「社長の気持ち」は
「ルール」に織り込み済みです。

「毎回、賞与の時に思い悩むか?」
それとも
「初回、仕組作りで思い悩むか?」

この選択です。

【期待効果】賞与で悩まない

賞与・ボーナスの季節になると気持ちが重い…

クライアント経営者から、何度も聞いただけでなく、私自身も「支払う立場」のときは(この仕組みを運用するまで)いつも感じていました。

年末、大阪のタクシーで
「お客さん!ボーナスは、よーけ(たくさん)もらいましたか?」
と、私が「もらう側」と勘違いして声をかけてきた運転手さんに
「へ?よーけ取られた方や!」なんて八つ当たりしたこともあります💦
運転手さん「あ!社長はんでっか…」。

賞与は本来、頑張ってくれたメンバーに報いる喜ばしい機会のはずです。

しかし実際には、多くの経営者が次のようなモヤモヤを抱えています。

  • 社員の頑張りに報いてあげたいけど、どれくらい出せばいいだろう?
  • 会社として精一杯の誠意で支給しているのに、社員たちは嬉しそうじゃない
  • 賞与を支給してもなかなかモチベーションが上がらない
  • 賞与の金額を決めるための査定が難しい
  • 特別な功労があった者、反対に見過ごせないミスがあった者の金額をどうしよう?
  • 賞与の季節になると、社内の空気がギクシャクする
  • 社員とハラの探り合いをするのはやめたい

どれをとっても、憂鬱なことばかりです。

では、このモヤモヤの正体は何でしょうか?

それは「納得感の欠如」です。

経営者は「精一杯支払っている」と思っているのに、
メンバー側は「評価されていない」と感じる。

この認識のズレが賞与の季節のたびに表面化するのです。

私がコーチングの現場で経営者の話を丁寧に聴くと、その奥にあるニーズは主に次の3つにまとめられます。

  • シンプルで分かりやすいルールを作りたい
  • メンバーの納得性が高いルールを作りたい
  • 業績と貢献で計算できるルールを作りたい

つまり、経営者が本当に実現したいのは「透明性」「公平性」「連動性」の3つです。

この3つを兼ね備えたルールを運用すれば、賞与の悩みはほとんどなくなります、ほとんど。

【判断基準】
成功のための3つの視点

さて「業績連動型賞与」のイメージの解像度は上がったでしょうか?

「簡単ではない」ですよね…はい。

上述したように「ハイリターン・ハイリスク」な仕組みだけに「取り合えず、やってみるか」というわけにはいきません。

以下、私自身、そして、いままで、多くの中小企業でサポートしてきた経験から「成功のための3つの重要視点」を整理しました。

「やるか?やらないか?」の判断基準の参考にしてみてください。

視点1:経営者のマインドセット

最初に確認すべきは、経営者自身の「マインドセット(考え方)や気持ち」。

次の3つに、ホンネでYESと言えるかどうかを確認してください。

  • 業績をチームの全員とオープンに共有したい
  • 誰も特別扱いせず、公正公平に分配したい
  • 公平性のため精度の高い人事評価をしたい

これらが「たてまえ」ではなく「ホンネ」で「YES」であれば、「もう、すでに成功したようなもの」です。

この3つが揃わないと「みんなで稼いで、みんなで分ける」が実現できません。

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視点2:精度の高い会計処理

計算はシンプルです。

各人の賞与=業績×分配率×貢献率

しかし、この「業績」を正確に把握できなければ、正しい賞与を計算できません。

実務では「会計データ」を使います。

「正しい会計処理」が大前提になります。

毎月、「正しい試算表」が出ていることが不可欠です。

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視点3:公正な人事評価

計算式のもう1つの要素「貢献率」は、人事評価から導き出されます。

「公正かつ公平」に成果分配するためには、各人の「貢献率」の精度が求められます。

「人事評価」については、「第5部:評価編」で詳しく解説しているので、課題意識があれば「分配」の前に「評価」について理解と認識を深めてください。

避けて通れません。

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02:人事評価の現実|中小企業が失敗する理由 評価基準、評価、個別面談・・・。中小企業にとって「人事評価」は「メンドウ」な仕組み。もっと「カンタン」にできないものか? 「人事評価」、やってますか? 「人事…

【危険共有】ハイリスクのリアル

「成果分配」は、「ハイリターン・ハイリスク」と説明しましたが、大切なことなので、念のため「リアルに想像」しておきましょう。

上記の3視点が欠けた時…。

公正公平な仕組みをオープンにして「全員参加」で成果を得よう!と言いながら
「業績データが疑わしい」
「正しく評価されてない」とすれば・・・。

あえて、説明する必要はないと思います。

社内に「不信感」が漂います。

「不信感」を持ったチームのパフォーマンスが上がるとは思えません。

「最高のチーム」を作るつもりだったのに、真逆のことが起きてしまいます。

釈迦に説法ですが
「失った信頼や信用」を取り戻すのは大変です。

改めて、念押ししておきます。

【要点整理】
どうせ「しんどい」なら

さて、どうでしょう。

「業績連動型賞与」を俯瞰しました。

設計、導入、運用、定着まで、ご想像の通り「簡単」ではありません。

しかし「うまく行ったとき」の効果は想像以上です。

そもそも「もう賞与で悩まない」だけでなく、

  • 成果や業績に対して、強い当事者意識を持っているメンバー
  • 良い時も、悪い時も「成果を分かち合う」一体感

この
「最高のチームカルチャー」に欠かせない仕組みです。

「一時の苦労」はあります。

でも、それは「産みの苦しみ」。

中小企業経営者にとって、賞与の仕組みは、あっても、なくても「しんどい」。

もう一度、書いておきます。

「毎回、賞与の時に思い悩むか?」
それとも
「初回、仕組作りで思い悩むか?」

お役に立ちますように!

【関連記事】
「組織戦略」全記事リスト

1部:概要編
  • 01:組織戦略の本質|最高の経営者人生のために
  • 02:組織戦略の主軸|人的資本経営|消費から投資へ
  • 03:組織戦略の全容|最高のチーム「5つの仕組み」
  • 04:組織戦略の前提|相性の良し悪しがとても大切
  • 05:組織戦略の目的|経営者の自由度を拡げる
2部:組成編
  • 01:組織作り|経営者のチームビルディング・スキル
  • 02:組織作り|最高のチームを作る実務:5ステップ
  • 03:組織作り|「もっといいチーム」の「らしさ」
  • 05:組織作り|「感じのイイ会社」のカルチャー
3部:採用編
  • 01:採用力の課題|「イイ人」はなぜ採れないのか?
  • 02:採用力の強化|「イイ人」を採るマーケティング
  • 03:採用力の改善|「イイ人」を見極めるための視点
  • 04:採用力の改善|「イイ人」に選ばれるための視点
  • 05:採用力の実務|「イイ人」を見極める面接のコツ
4部:育成編
  • 01:人を育てる覚悟「ホンキ」で人を育てているか?
  • 02:人材育成の準備「優秀な人材」を言語化してるか?
  • 03:人を育てる前提「ヒト」を正しく理解しているか?
  • 04:人材が育つ文化「成長の定義」を共有しているか?
  • 07:人材育成の仕組「学校方式のPCDA」で育てる!
5部:評価編
  • 01:人事評価の本質|人を育てるための道具
  • 02:人事評価の現実|中小企業が失敗する理由
  • 03:人事評価の運用|「成功例」と「失敗例」の比較
6部:分配編
  • 01:成果分配の概要|業績連動型賞与の「ざっくり」
  • 02:成果分配の功罪|業績連動型のデメリットとリスク

このサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。

特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。

お察しのとおり、このサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。

すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。

また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。

このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのサイトでは書けません。

「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。

ただ、トラブルや裏技が必要になるときの共通した原因があります。それは、この「組織戦略」を疎かにしてしまったリバウンドであること。念のために書き添えておきます。

6部-分配編
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この記事を書いた人

H.HORIIのアバター H.HORII マネジメントコーチ

思考のスパーリング・パートナー

もっとエエ会社にしたいなら、
もっとエエ経営者になればええねん!

これが口ぐせ。

1999年に税理士事務所を創業し、
勤務時代も含めると約40年近く
300人を超える中小企業経営者の
成功と失敗を特等席で見てきた
「超実務家」。
2022年に幸せな事業承継を遂げ、
自ら「経営の入り口から出口まで完走」。

現在はマネジメント・コーチとして、
20〜40代の次世代経営者を
「あおって、いやして、元気づけて」
パフォーマンスを最適化するのが仕事。
その現場で得た「もっとよくなるヒント」を
惜しみなく日々発信中。

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