頭を整理するフレームワーク「知る+考える+動かす」

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


多くの経営者は、毎日が忙しく、優先順位を誤ったり、感情的・感覚的に動いてしまったり、大切なことにヌケモレがあったりと、何かと後悔することが多く、そんなときは「頭の整理」の必要性を感じるのですが、それが意外と難しかったりします。

この記事では「マネジメントとは何か?」という基本に立ち返り、頭の整理をするためのフレームワークと、自己内観のためのチェックリストを紹介します。

このブログでは「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けて「経営脳の自主トレサポート」を目的に「もっといい会社」にするためのヒントを発信しています。初めてアクセスしていただいた方は、こちら(=「このブログについて」)をまずご覧ください。

マネジメントとは「知る+考える+動かす」こと

そもそも「マネジメント」とは何か?ですが、過去、著名な学者たちは下記のように定義しているようです(GPT調べ)。

  • 「マネジメントとは、組織の目標を達成するために人々の活動を計画し、組織し、指揮し、統制するプロセスである。」ピーター・ドラッカー (Peter Drucker)
  • 「マネジメントとは、計画、組織、指揮、協調、統制の機能を通じて、組織の効率的な運営を確保することである。」アンリ・ファヨール (Henri Fayol)
  • 「マネジメントとは、作業方法を科学的に分析し、標準化された手順を用いて労働者の生産性を最大化することである。」フレデリック・テイラー (Frederick Taylor)
  • 「マネジメントとは、他の人々を通じて目標を達成するためのプロセスである。」ジェームズ・A・F・ストーナー (James A. F. Stoner)
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これらも踏まえ、私は「マネジメントとは、期待する成果を得るために、社内外の人や資源を動かすこと」と定義します。

ちなみに「セルフマネジメント」は、これに従うと「期待する成果を得るために、自分を動かすこと」と言えます。このブログの「経営脳のトレーニング」は、この「セルフマネジメント」の具体的な方法論という位置付けです。

いずれにしても、マネジメントの実務を行うには「知ること・考えること・動かすこと」の3つの組み合わせです。

この3つの要素のどれかが欠けていたり、不足すると・・・例えば下記のように。

  • 知っておくべきことが不足していた・・・
  • 考えるべきことが浅かった・・・
  • 動かすことを怠った・・・

このような状態のときは期待する効果を得ることが困難になり「マネジメントがマズかった」と一言で表現しがちですが、これが「頭が整理できていない状態」です。

フレームワークのフォーマット

そこで、この3つの要素に分けて整理するために「知る+考える+動かす」というフレームワークを使ってみます。

まずは、フォーマットイメージをご覧ください。縦軸は「社内・社外・自分自身」という「3G」に分類しています。

知ること考えること動かすこと
社内社内の事で知らないことは無いか?社内の事充分考えているか社内を動かしているか?
社外社外の事で知らないことは無いか?社外の事は充分考えているか?社外を動かしているか?
自分自身自分自身の事で知らないことは無いか?自分の事は充分考えているか?自分自身を動かしているか?

(参考記事)【3Gマネジメント】近江商人の「三方良し」との違い

フレームワークで整理

経営が上手くいかない、過度なストレスを感じている、イライラしている、など、決して「順調」と言えない状態のとき、上記のフレームワークで整理することで「なぜ、順調でないか?」について頭の整理が進み、自己認知の解像度が高くなります。

知ること

「知ること」は、主に「現状把握」や「情報収集」のことであり、意思決定するにあたって、充分な情報を持っているか?知っているか?というセルフチェックです。

例えば、社内であれば、メンバーが感じている不平不満や、チーム内の不仲やハラスメント、あるいはメンバーの心身の諸問題などの人事関連情報、あるいは会計関連情報など、経営者として知っておくべきことを知らない、気付いてない、ということは無いか?というチェック項目です。

同様に、社外に目を向ければ、顧客満足度、取引先満足度など「身近な問題」から、競合の動向を含むマーケットやトレンドなど「経営環境の問題」などについて充分知って把握しているか?というチェックも欠かせません。

考えること

「考えること」は、「知ること」と「動かすこと」を連動させるためのアクションです。

「知っているけど、動かなかった」という結論は「考えてなかったでしょ!」というイメージです。

同様に「動かした結果を評価しなかった」という現象も「考えてない」に属します。

周りからの評価が「口だけの人」「無関心な人」に多いパターンです。

さて、心当たりはないでしょうか?

動かすこと

改めて、上記のマネジメントの定義を再掲すると「期待する成果を得るために、社内外の人や資源を動かすこと」です。

規模の大小に関わらず、トップリーダーである経営者は「動かしてナンボ」のポジションです。

直接ではなくても、チームを通じて間接的に動かしているのは経営者です。

  • メンバーが思ったように動いてくれない
  • 取引先が思ったように応じてくれない
  • 顧客満足度が上がらない
  • 新規顧客が取れない

これらは、社内外の人たちを動かせていない現象です。

なぜ、社内外は思ったように動かないのか?を深く考える必要があります。

「思ったように動いてくれない・応じてくれない」「満足と言ってくれない」「新規顧客が振り向いてくれない」のは、すべて「なぜ、動かせないのだろう」と自責で自己内観する必要があり「他責」ではないことに注意しなければなりません。

セルフチェックリスト

セルフチェックのための具体的なリストのサンプルを紹介します。

これを参考に、あなたの事情に応じたセルフチェックリストを作っておくと定期的な自己内観=頭の整理に便利です。

知ること

  • 社内:メンバーの意見を収集しているだろうか?
  • 社内:メンバーの報連相は円滑だろうか?
  • 社内:メンバーと課題共有はできているだろうか?
  • 社内:毎月の月次決算をチェックし、理解しているだろか?
  • 社外:顧客満足度や潜在クレームを把握しているだろうか?
  • 社外:定期的に市場情報や技術情報を収集しているだろうか?
  • 社外:最近の競合分析を行っているだろうか?

考えること

  • 総合:中期戦略・長期戦略は具体的だろうか?
  • 社内:課題解決策を具体的に考えているだろうか?
  • 社外:顧客満足度の向上を考えているだろうか?

動かすこと

  • 社内:チームを思い通りに動かせているだろうか?
  • 社内:メンバーは順調に成長しているだろうか?
  • 社外:取引先を思い通りに動かせているだろうか?
  • 社外:見込み顧客を含め、顧客を思い通りに動かせているだろうか?

自分のこと

上記のフレームワークには「自分自身」のセルも設けてありますが、私は、この「自分のこと」が最も重要だと考えています。

規模が小さい中小企業の特徴として「経営者のコンディションが、会社のコンディションとなる」と思っているからです。

経営者が「上機嫌」であると、大抵のことが上手く進みます。

同様に「不機嫌」であると、会社の状態も悪化していきます。

中小企業経営者にとって「セルフマネジメント」はとても重要です。

「ニワトリ・タマゴ」の話のように「いや、会社の状態がいいから上機嫌になれる」という意見もありますが、私は「先に経営者」だと思っています。

もし「上機嫌」ではないとき、あなた自身と、家族や大切な人たちも含め、「自分のことをよく知っているか?」「自分のことをよく考えているか?」「自分を動かすことはできているか?」という視点で自己内観してみてください。

自分の「上機嫌のスイッチ」を知ることはとても重要かつ効果的です。

(参考記事)経営脳の5つのレイヤー:第3階層:メンタル

まとめ

さて、どうですか?頭の整理は進みそうですか?「知ること・考えること・動かすこと」というフレームワークを紹介しました。

頭がゴチャゴチャの時、何をやってもうまくいきません。

月1回でもいいので、このフレームワークを使って頭の整理をしてみてください。経営脳のトレーニング効果がもっとよくなるはずです。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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