貸借対照表と損益計算書の関係?
考えたこともない。
だから、何なの?
そんなに重要なの?
「だから、何なの?」
ある経営者の、この言葉で怒りに震えたことがあります。

若い頃ですけどね💦
目の前の「損益計算書」にばかり気を取られ、「貸借対照表」には、まったく関心を示さない経営者。
自分の拙いプレゼン力を棚に上げ「(当事者やろ!社長!)」って怒りがこみ上げたんですね、たぶん(笑)。
あの頃より、少しはプレゼン力もマシになったと思うので、今回は…
意外と盲点になってる
貸借対照表と損益計算書の超重要な関係について整理します。
伝えたいことは
「今だけいい会社」と
「ずっといい会社」の視点です。
【課題共有】
盲点!BSとPLの関係
「貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の関係」と言っても、多くの中小企業経営者は…



そんなん、考えたこともないわ!
とか・・・



そんなの
どうでもいいんじゃないの?
・・・が正直な気持ちだと思います。
「損益計算書(PL)」で「売上・利益・税金」だけ見てればいいやん!という方がほとんどだと思います。
「貸借対照表(BS)」までチェックし、ましてや、この両者の関係までチェックしている人は「皆無」ではないか?というのが40年近くも税理士をやってた私の率直な感覚です。
自戒も込めて言うなら「それを説明しない顧問税理士が悪い」のであって、経営者が悪いって言うつもりはこれっぽっちもありません。
でも、この「両者の関係」は
「知らなきゃ損」です。
少々大げさですが、知れば
「経営者としての転機」となるかもしれません。
なぜなら「ずっといい会社」であり続けるための視点となるからです。
【課題解決】
BSとPLのつながりを実感する
突然ですが「バスタブ」の話です。


- バスタブには、もともと50ℓのお湯が入っていました。
- そこへ100ℓの「たし湯」をしました。
- ところが、栓が緩くて30ℓが漏れていました。
- 結果、バスタブのお湯は120ℓになりました。
さて、バスタブのお湯は何リットル増えましたか?
さて「どんな計算」をしましたか?
最初50ℓー最後120ℓ=70ℓ増えた
…という計算ですか?
それとも…
たし湯100ℓ-漏れ30ℓ=70ℓ増えた
…という計算ですか?
もう、お分かりだと思います。
前者が「貸借対照表(BS)」の計算方法で、
後者が「損益計算書(PL)」の計算方法です。
当然ですが、
どちらで計算しても「答えは70ℓ」です。
これを、会計的に置き換えてみましょう。
- 期末資本120-期首資本50=当期純利益70
- 収益100-費用30=当期純利益70
さらに、これを図解すると、次のようになります。


会計用語にすると、たちまち難しく感じるかもしれませんが・・・
- 「貸借対照表(BS)」は、バスタブ
- そこに入っているお湯が「純資産」
「損益計算書(PL)」で表されている「入(たし湯)」と「出(漏れ)」の差である「純利益」相当額が加算されます。
もし「漏れ」の方が多くて「純損失」になれば、その相当額の「純資産」が減ってしまうことになります。
さて、どうですか?
「BSとPLの関係」、つかめそうですか?
さらに、理解を深め「実感」してもらうために、下記に練習問題を用意しました。
サラッと流さず、丁寧に考えてみてください。
【練習問題】
純資産の増減を計算してみる


簡単な問題で「貸借対照表(BS)」の理解度をセルフチェックしましょう。
下記の取引で「純資産」は、それぞれいくら変化しますか?
- 【第1問】計上されている売掛金1000万円の入金がありました。
- 【第2問】銀行からの借入金1000万円を完済しました!
- 【第3問】今月の売上高は1000万円でした!
:
(Thinking-Time)
:
さて、どうですか?
バランスシートの「純資産」が動くのは「第3問」だけで、「第1問」も「第2問」も純資産は変わりません。
正解できましたか?
【第1問】は「売掛金」という資産が減って、同額の「現金預金(資産)」が増えるので「資産」のプラマイゼロです。
売掛金の入金は、単に債権が現金に変わっただけで、資産全体の合計に変化がないため、純資産も動かないのです。
【第2問】は「借入金」という負債が減って、同額の「現金預金(資産)」が減りました。
それぞれ、同額が減るので、差額である「純資産」は変わりませんよね。
だから、【第1問】【第2問】では「純資産は変わらない」というのが正解です。
続く【第3問】です。
上記に「動く」と書きました。
ただ「まれに動かない」ことがある、少々ややこしい話です。
売上が1000万円だったら「純資産は増えた!」というイメージが先行しそうですが、減る場合もあります。
「売上」で増えるのではなく「損益」で増減するからです。
バスタブで言えば「たし湯」より「漏れ」が多ければ、バスタブのお湯は減ってしまいます。
正解は・・・
その売上で「利益が出たら増える」、「損失が出たら減る」です。
だから、たまたま「原価販売した」という場合は、損益が発生しないので差額である「純資産も動かない」ということになります。
これも、バスタブで例えるなら「たし湯」と「漏れ」が同量だったら、という話です。
【基本図解】
PLの積み重ねがBS
さて、どうでしょう?
「損益計算書(PL)」の「純利益」が
「貸借対照表(BS)」の「純資産」に、
「毎期加算減算されていく」ということが
お分かりいただけたと思います。
つまり「貸借対照表(BS)」は、毎年の利益(損益)の積み重ねであり、会社設立以来、ずっと繋がっています。
それを図解すると次のようなイメージです。


「5,000万円の(資本金)純資産」でスタートし、毎期100万円の純利益(税引後)を積み重ねれば、20年後には「7,000万円の純資産」になる、ということです。
これを踏まえると、
「損益計算書(PL)」は
「単年度のフォーマット」と言えます。
それに対して、過去から続く会社の歴史の中で
「貸借対照表(BS)」は
「現在地を示すフォーマット」と言うことができます。
【長期視点】
「ずっといい会社」でありたい


この「損益計算書(PL)」を見てどう思いますか?
年商88億円、経常利益は約半分の41億円、納税後の「当期純利益」は28億7千万円。
この会社の経営者自身は、どう思うかは分かりませんが、客観的には「よぉ儲けたはるなあ~!」だと思います。
でも、だからといって純資産を充分蓄えている「いい会社」かどうかは、分かりません。
あくまでも「儲けている会社」であることは間違いないですが、それとて「この期は」という但し書きも必要です。
「いつも儲けているか?」も分かりません。
つまり「今だけ・たまたまの黒字」かもしれないですよね?
一方で、下記が、この会社の「貸借対照表(BS)」です。


さて、どうですか?
「ええ感じ」ですよね?
純資産が25億円もあります。
年間の販管費が2億円なので、10年分以上の「蓄え」です。
別の見方をすれば、万が一25億円の大損失を出しても、まだ「チャラ」です。
ビジネスは波乱万丈なので、今後「何があるか分からん」ですが、多少のことで、この「貸借対照表(BS)」が崩れるようなことはないでしょう。
このような「充分な純資産を蓄えている会社」が「ずっといい会社」です。
中小企業経営者の皆さんには、毎年の「損益計算書(PL)」に一喜一憂(も大事ですが)することなく「長期視点」を持って経営に勤しんでほしいと思います。
もし、自慢するなら
「よぉ儲かった!」という
「損益計算書」の短期視点ではなく、
「よぉ貯まった!」という
「貸借対照表」の長期視点で
「ドヤ顔」しましょう。
ただ、「貸借対照表」には「とんでもない落とし穴」が潜んでいます。
気になる方は、下記の記事も参考にしてみてください。
そのキーワードは「時価・換金価値」です。


【要点整理】
BSが目的、PLはその手段
さて、どうでしょう。
「貸借対照表と損益計算書の関係」を中小企業経営者の視点で整理しました。
今まで、考えたこともないBSとPLの関係を考えるきっかけになったでしょうか?
純資産増減の計算を通じて、BSとPLのつながりを実感してもらえたでしょうか?
PLの利益が毎期コツコツとBSに加算されていきます。
こうして見ると「BSが目的」であって「PLは手段」であることがお分かりいただけたと思います。
長期視点で「ずっといい会社」であるように頑張りましょう!
お役に立ちますように!






