管理会計ってなんだ?
そう思っている中小企業経営者の方のために「基礎のキソ」を解説します。
「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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【比較整理】
「財務会計」と「管理会計」
会計は「財務会計」と「管理会計」の2つに大きく分類されます。
「財務会計」が
「誰かのための会計」であるのに対して、
「管理会計」は
「自分(経営者)のための会計」ということができます。
まずは「百聞は一見に如かず」、この両者の違いを整理します。
株式を公開していない中小企業の場合は下記のようになります。
| 財務会計 =必須= | 管理会計 =オプション= | |
|---|---|---|
| 重要な視点 | 事務処理 | 情報処理 |
| 時間軸 | 過去 | 過去・現在・未来 |
| 目的 | 「誰かのための会計」 =財務状況や業績の外部報告 | 「経営者のための会計」 =経営状況の内部把握 |
| 対象者 | 株主、金融機関、税務当局、 その他取引先等の「外部」 | 経営者や部門リーダー 時にはチーム全員の「内部」 |
| 期間と帳票 | 年度:決算書 月次:試算表 | 月次:管理会計レポート *決まった名称や帳票はない |
| 情報の詳細度 | 会社単位 | 会社単位に加えて部門別、製品別など |
| ルール | 会計基準など公のルールがあるので それに従わなければならない。 | ルールがないので自由に設計できる。 |
| ツール | 市販されている会計ソフトや クラウドサービス | エクセルやスプレッドシートによる オリジナルフォーマット |
| 活用範囲 | 特になし | 経営計画 予算管理 部門別会計 業績分配給与賞与制度 原価計算等 人材育成 |
繰り返しますが、
「財務会計」が金融機関や税務当局など「誰かのための会計」であるのに対して、
「管理会計」は、経営者にとって「自分のための会計」である点です。
「試算表」や「決算書」は、金融機関や税務署などの外部に報告することが目的なので、公のルールである「財務会計」のルールに従って作成します。
したがって、そのフォーマットは残念ながら経営視点ではなく、債権者や投資家視点になっています。
それに対して「管理会計」は社内用であり、したがって、そのフォーマットは「自由」なので、経営者が必要とする経営情報を得るために、様々なアレンジをすることができます。
【二刀流!】
管理会計は選択オプション
ただ、この「財務会計」と「管理会計」は「どっちにしよう?」という選択ではありません。
「財務会計」に加えて、オプションとして「管理会計」を使うか?使わないか?の選択です。
したがって、財務会計の試算表や決算書で充分という経営者に「管理会計」は必要ありません。
しかし、経営状態を正しく把握したり、意思決定をするにあたって試算表や決算書では物足りない、あるいは、むつかしいと感じる場合は、オプションとして「管理会計」を追加して活用することを強くオススメします。
その場合、結果として「財務会計」と「管理会計」の両方を活用することになり、いわば「二刀流経営者」になることになります。
【定義整理】
中小企業の管理会計とは?
上述したように「管理会計」のレポートは「内部資料」なので、自由に設計することができますが、それゆえに「管理会計」という用語の範囲は広範囲です。
「財務会計」のように、決まったフォーマットがありません。
このサイトで紹介している「管理会計のフォーマット」も、当社のオリジナルです。
また、私のコーチング先の経営者には、それぞれの業種や規模、KPIに応じて個別にカスタマイズして提供していますが、その方法は「おおむね」次を基本としています。
- 対象;
10人から200人規模の中小企業の経営者 - フォーマット;
中心は「MA貸借対照表」「MA損益計算書」「MAキャッシュフロー計算書」の3つ。
必要に応じて、部門別、地域別、商品別などアレンジ。 - 運用方法;
財務会計と分離せず、試算表や決算書をカスタマイズ(=個別運用しない)

つまり、実務的には一般的な会計ソフトによって通常の会計処理を行い「財務会計」の試算表をアウトプット。
そのデータをエクセルやスプレッドシートでフォーマット変換して「管理会計のレポート(「MA貸借対照表」「MA損益計算書」「MAキャッシュフロー計算書」+「必要に応じて個別レポート」)をアウトプットする、というフローになります。
*MA:Management Accounting
【重要指標】
管理会計の3つのKPI
「なぜ、わざわざ二刀流なのか?」
「財務会計」は、銀行や税務署等に提出するために必要です。
「管理会計」は、経営者が必要とするデータを正しく、かつ詳しく知るために必要です。
では、「経営者が必要とするデータ」とは何か?
一言で言えば「目的や目標の実現や達成に対する現状把握」ができるデータです。
それは業種や規模によって様々ですが、その中ですべての経営者に共通しているのは次の3つの重要データであり、これらは「最上流のKPI」です。
- 収益構造:損益分岐点
- 収支構造:収支分岐点・キャッシュフロー
- 時価自己資本:キャッシュに裏付けされた実質的な内部留保
収益性を高め、キャッシュフローを高め、そして時価ベースでの自己資本(実質内部留保)を厚くすること。
これが「管理会計」を活用した経営の「キモ」であり、その最大のメリットです。
残念ながら、これらのKPIは「財務会計の試算表や決算書」には表示されていません。
必要な時は「別途計算」が必要になります。
その都度「面倒な計算」をするくらいなら「二刀流」になって、月次でチェックできる体制にすればいい、という考え方です。
【要点整理】
活用しない理由は何もない
さて、「管理会計」がどういうものか?を理解できたでしょうか?
- 財務会計は「誰かのための会計」、
管理会計は「経営者のための会計」であること - 財務会計は必須、
管理会計はオプション。
「どちらか?」ではなく「追加するかどうか?」 - 「財務会計」をカスタマイズして
「管理会計」のレポートをアウトプット - 「管理会計」で可視化する
- 「収益構造」
- 「収支構造」
- 「時価自己資本=実質内部留保」
「管理会計」は、もっといい会社にするために欠かせないツールであり、活用しない理由は見当たりません。
以上、お役に立ちますように!


