「経営計画における目標設定」について整理します。
職業柄、中小企業の「経営計画」を山ほど見ていますが、「数字だけか・・・」と思うことが少なくありません。
いわゆる「定量目標」だけなんですね。
「もっといい会社」にするには「数字だけ」では足りません。
今回は「定性目標」について考えるヒントにしてみてください。
「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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【自責他責】
「やる気」は会社の目標次第
競技種目に関わらずスポーツの世界では、優勝や金メダルなど最上位のゴール(=目標)があります。
それを達成したときの幸福感はもちろん、残念ながら逃した時の悔しさも、いずれであっても目標によって感情は刺激され揺さぶられます。
また、その目標の難易度が高ければ高いほど感情のブレ幅は大きくなるのが常です。
スポーツと同じく会社経営もチームプレーであり「みんなの目標」が不可欠です。
その難易度や大きさによってメンバーの感情は左右され、それがモチベーションや達成感、満足感の源となります。
逆に言うと目標がなかったり、希薄であると感情の揺れが少なく喜怒哀楽の薄いチームになってしまうので、目標設定はとても重要です。
「やる気=モチベーション」は、個人の性格や資質だけでなく、会社の文化や環境と並んで目標に大きく影響されます。
人材採用において、よく「やる気のある人募集!」というコピーを見かけます。
しかし、私のような「イジワルな目」で見ると、
「やる気になれる会社か?」
「やる気にしてくれる経営者か?」とツッコミたくなります。
会社経営において、「やる気」は「他責」ではありません。
彼ら彼女らの「やる気」を引き出すのも消してしまうのも、トップリーダーである経営者次第です。
目標が魅力的であると、人は「その気」になり、それが「やる気」に進化していきます。
【定量定性】
目標は数字だけでは足りない
「定量目標」と「定性目標」について整理しておきましょう。
私が「目標は?」と尋ねると、多くの経営者は「売上や利益の目標」を返してくれますが、これが「定量目標」であり、もちろん欠かせないものです。
定量目標とは、具体的な数値や指標で示される経営の成果を示す目標であり「年間売上を10%増加させる」や「新規顧客獲得を月に5社以上とする」といった表現が典型例です。
そして、もうひとつの目標である「定性目標」。
経営者は、口には出さなくても、数値化できないビジョンや方針として「社会に認められるブランドとなる!」や「社員満足度を高める!」など「状態を示す目標」を持っています。
私が知る限り、持続的に順調な会社の多くには「定量目標」だけではなく「定性目標」を具体的に掲げています。
その大切さ、必要性は疑う余地がありません。
補足すると、この「定量目標」と「定性目標」は、「点と線」に例えるとイメージしやすいかもしれません。
「定量目標」は、「点」としての目標であり、その「点」にタッチするかどうか?というイメージ。
「定性目標」は、状態を持続することを目標にするので「線」のイメージです。
どうでしょう?伝わるかな💦
【相互補完】
定性目標が必要である理由
すでにお気付きのように、目標設定を「定量」と「定性」にカテゴライズする概念ではなく、それぞれ補完する関係です。
「勝率6割以上を達成する」という「定量目標」だけでは盛り上がりません。
しかし、その結果「優勝するぞ!」という「定性目標」を加えることで、その意欲は大きく変わるはずです。
反対に「優勝するぞ!」と掲げても、そのために何勝しなければならないか不明瞭であれば、その達成確率は怪しくなってしまいます。
「定性的な目標(優勝)」のために「定量的な評価や測定(勝率)」をするという関係です。
「数値そのものを目的にしてはならない」のであって、必ず、その背景にある「真の目的や価値」を忘れてはならないのです。
顧客や取引先を犠牲にするような企業の不祥事の原因が「数値のみを目標にした結果」であることが多いことからも「定性目標」の必要性がお分かりいただけると思います。
- 数字だけ追うから、顧客満足を軽視した無理な営業活動になる。
- 顧客満足の測定や評価の「ものさし」として、売上目標がある。
この違いです。
【目標事例】
経営計画の優劣がかかってる
目標の実現や達成のために「経営計画」を策定します。
目標に具体性が欠けていたり、表現が稚拙であったり、つまり不鮮明であると「経営計画」もモヤモヤしたものになってしまいます。
最初が肝心、経営計画の策定において、もっとも重要なのは「ベストゴールの設定」です。
ゴールが「定量」と「定性」の両方で具体的に表現されているかどうか?です。
経営計画は「ゴールに向かう考動計画」であり、そもそものゴールに不備があると根本的に「いい計画書」にはなりません。
以下、設定しているゴールが「ベストなのかどうか?」をチェックするために「目標設定事例」を紹介します。
いずれも一例に過ぎないので、ニュアンスをつかみ、あなたの会社や業種に応じて
- モレなく
- ダブりなく
- ムリなく
- ムジュンなく
設定するヒントにしてください。
定量的な目標の設定事例
- 売上目標:「売上を前年比20%増加させる」
- 利益率の向上:「利益率を5%向上させる」
- 内部留保:「固定費の24か月分を蓄積する」
- 新規顧客獲得:「新規顧客を100人獲得する」
- 生産効率の向上:「ひとり当たりの限界利益を2千万円以上とする」
- 在庫回転率の改善:「在庫回転率を25%向上させる」
- ウェブサイトの訪問者数増加:「月間訪問者数を30%増加させる」
- 新製品の販売数:「新製品の販売開始から3ヶ月で5,000個の販売を目指す」
定性的な目標の設定事例
- 顧客との信頼関係を深め、長期的なパートナーシップを構築する
- 若手社員の成長を支援し、次世代リーダーを育成する
- 風通しの良い職場環境を作り、活発な意見交換を促進する
- 市場ニーズを的確に捉えた独自性のある商品を開発する
- 地域社会との関係を深め、地域密着型企業としての地位を確立する
- 事業環境の変化に柔軟に対応できる強靭な組織を構築する
- 社員一人一人の専門性を高め、技術力の向上を図る
- 環境に配慮した持続可能な製品づくりを推進する
「定性目標」は「定量目標」とは違って客観的に達成度合いを測ることが難しいので、ときに「誤解」や「認識違い」などの「ズレ」が生じることがあります。
可能な限り「達成した状態」を言語化し、共有できるように表現を工夫しましょう。
【要点整理】
言葉のチカラを軽視しない
さて、どうですか?
「経営計画における目標設定」について整理しました。
- 目標設定次第でチームは良くも悪くもなること
- 定量目標だけではなく定性目標が必要であることと、その理由
- 中小企業の経営計画における目標設定の事例
チームのパフォーマンスを上げるために目標設定が必要なのは言うまでもありませんが「言葉のチカラ」を軽視できません。
「定量目標」だけではなく、その数値目標を掲げる理由や目的、そして、達成したときの達成感、満足感、そして幸福感を「定性目標」として分かりやすい言葉で設定しましょう。
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