たった1%で利益が1.7倍?
たかが1%で?
そんな調子のいい話があるもんか!
ん?あるの?
確かに・・・
【常識再考】
当たり前の計算を再確認する
利益=収益-費用
シンプルすぎて拍子抜けするこの計算式。
でも、収益力改善の本質はこのたった一行です。
費用を最小化し、
収益を最大化すると
もっと儲かる。

この「当たり前」に
異論はないはず
でも実際は、なかなかカンタンではない。
この極めて当然の常識の確認から始めましょう。
なぜなら、多くの中小企業経営者が「収益を上げること」に偏っているからです。
安売り!
広告!
人員増!
投資!…
…様々な施策によって収益を拡大しても、利益がついてこない…
心当たりはありませんか?
「利益が目的、売上は手段」って百も承知なのに
「売上が目的」になっていませんか?
【必要利益】
どれだけ儲ければいいか?
もうひとつ、盲点となっているはずの「当たり前」の話をしておきます。
「経営者の引退」の話。
中小企業の多くはオーナー企業であり、経営者の引退は「譲渡(相続を含む)」か「清算」の2択です。
いずれであっても、そのときの「評価額」は、大雑把にいうと「実質純資産」。
つまり、創業以来の利益の積み重ねです。
これが引退時の「退職金」や「株式譲渡収入」となって、経営者の手元に入ってきます。



ストレートに聞きます。
「そのとき、いくら欲しいですか?」
- 1億円ですか?
- 5億円ですか?
- 10億円ですか?
- それでも足りませんか?
これが
「いくら儲けるか?」の
「目標額の最終地点」です。
- もう十分なら、今後は「トントン」でいいかも
- 天変地異に備えて「青天井」で拡大すべきかも
- 全く足りないので「もっと利益が必要!」かも
さて、あなたの「事情」はどうですか?
百社百様・百人百様なので「こうすべき」という正解はありません。
しかし「自分の正解」を自覚して整理しておかなければ、短期的な利益で一喜一憂することになり、その結果…
- せっかくの利益を間違った節税で溶かす
- 目標なき経営で、結局、貯まらず
- たっぷり貯めたのに、思わぬ「出口課税」
…というような「想定外」で頭を抱えることになります。
「実質純資産=内部留保はいくら必要か?」
「自分の正解」が明確になって初めて
「もっと儲けたい!」が意味を持ちます。



儲けたいに理由なんかないよ!



もっと実質純資産=内部留保を厚くしたいから、もっと儲けたい!
この両者の差は、将来、大きな差になります。
簡単な計算式を示しておくので参考にしてみてください。
- 引退時に欲しいキャッシュ:5億円
- 現在の実質純資産:1億円
- 不足額:4億円(5-1億円)
- 引退まで20年だとすると…
- 毎期平均必要税引「後」利益:2,000万円
こんな具合です。
法人税率を約35%として、
税引「前」利益で計算すると
「約3,000万円/年を20年間続ける」
ことが必要になります。


【現状確認】
自社の収益構造を確認
大事な前置きだったので長くなってしまいました。
「もっと儲けるための計算実務」に進みましょう。
さっきの「収益-費用=利益」のシンプルな計算式。
経営実務においては「損益計算書(PL)」になります。
ただ、ここで必要なのは、
その「管理会計バージョン」である
「進化型MA損益計算書」。
収益力改善に取り組むにあたって、まずこのフォーマットで「自社の収益構造」を正しく現状把握しましょう。
下記にサンプルを示します。
ここからは、数字が並ぶので、ゆっくり丁寧に読んでください。



「サラッ」と流すと、
あとの「1.7倍にするロジック」が
分からなくなってしまいます。
| 売上高 | 300,000 |
| 変動原価 | 180,000 |
| 限界利益 (対:売上) | 120,000 40% |
| 事業コスト | 90,000 |
| 創造付加価値 | 30,000 |
| 経営コスト | 24,000 |
| 経常利益 (=税引前利益) | 6,000 |
| 法人税等(概算) | 2,400 |
| 税引後利益 | 3,600 |
このサンプル(単位:千円)をよく見て、次について確認してみてください。
- 「売上高」から、最後の「税引後利益」までの計算プロセス
- 「限界利益」が「売上高」の40%であること
- 「固定コスト」が「事業コスト」と「経営コスト」に大別されていること
- 「創造付加価値」という見慣れない項目があること
- 「経常利益」の40%が概算の法人税として計上されていること
- 「税引後利益」が、3,600千円であること
以上が確認できれば、あなたの会社の直近の決算書に基づいて各項目を埋めて、同じように確認してみてください。
なお、この目的は「収益構造の確認」であって「細かな数字」に捉われる必要はありません。
大まかな数字でいいので、ざっくりと埋めてみましょう。
また、臨時的な損益である「特別利益」や「特別損失」が計上されていても、ここでは無視。
「どんな体質なのか?」が分かればOKです。


【感度分析】
どこがイチバン感じるか?
収益力改善に取り組むときの「定番」が「感度分析」です。
「どこを触れば、イチバン感じるのか?」
上記のサンプルを用いて、その例を示すので、あなたの会社の数字でも同じように計算してみてください。
| 売上高 | 300,000 |
| 変動原価 | 180,000 |
| 限界利益 (対:売上) | 120,000 40% |
| 事業コスト | 90,000 |
| 創造付加価値 | 30,000 |
| 経営コスト | 24,000 |
| 経常利益 | 6,000 |
| 法人税等(概算) | 2,400 |
| 税引後利益 | 3,600 |
- 売上高を1%アップすれば?
- 限界利益率を1ポイントアップすれば?
- 事業コストを1%削減したら
このように、それぞれ「1%(1P)」を改善すれば「経常利益」にどれくらいのインパクトがあるでしょう?
売上高1%の影響試算
売上高を「1%」だけアップしてみましょう。
売上高:300,000千円×1%=3,000千円。
(現状)
| 売上高 | 300,000 |
| 変動原価 | 180,000 |
| 限界利益 (対:売上) | 120,000 40% |
| 事業コスト | 90,000 |
| 創造付加価値 | 30,000 |
| 経営コスト | 24,000 |
| 経常利益 | 6,000 |
(改善後)
| 売上高 | ★303,000 | 101% |
| 変動原価 | 181,800 | 101% |
| 限界利益 (対:売上) | 121,200 40% | 101% |
| 事業コスト | 90,000 | – |
| 創造付加価値 | 31,200 | 104% |
| 経営コスト | 24,000 | – |
| 経常利益 | ★7,200 | 120% |
「固定コスト(=事業+経営)」はそのままだとすれば、「経常利益」は、1,200千円アップします。
売上の1%で、経常利益は、
20%アップすることが分かります。
限界利益1Pの影響試算
次は、限界利益率を「40%→41%」にアップ。
(現状)
| 売上高 | 300,000 |
| 変動原価 | 180,000 |
| 限界利益 (対:売上) | 120,000 40% |
| 事業コスト | 90,000 |
| 創造付加価値 | 30,000 |
| 経営コスト | 24,000 |
| 経常利益 | 6,000 |
(改善後)
| 売上高 | 300,000 | 100% |
| 変動原価 | 177,000 | 98.3% |
| 限界利益 (対:売上) | 123,000 ★41% | 102.5% |
| 事業コスト | 90,000 | – |
| 創造付加価値 | 33,000 | 110% |
| 経営コスト | 24,000 | – |
| 経常利益 | ★9,000 | 150% |
売上高:300,000×1%で、
限界利益は3,000千円増です。
経常利益は「6,000→9,000千円」と
50%アップ!
つまり、
限界利益の1ポイントアップで
経常利益は「1.5倍」になりました!
事業コスト1%の影響試算
結果は分かっていますが、一応計算しておきましょう。
事業コスト90,000千円×1%=900千円を削減。
(現状)
| 売上高 | 300,000 |
| 変動原価 | 180,000 |
| 限界利益 (対:売上) | 120,000 40% |
| 事業コスト | 90,000 |
| 創造付加価値 | 30,000 |
| 経営コスト | 24,000 |
| 経常利益 | 6,000 |
(改善後)
| 売上高 | 300,000 | 100% |
| 変動原価 | 180,000 | 100% |
| 限界利益 (対:売上) | 120,000 40% | 100% |
| 事業コスト | ★89,100 | 99% |
| 創造付加価値 | 30,900 | 103% |
| 経営コスト | 24,000 | – |
| 経常利益 | ★6,900 | 115% |
経常利益は「6,000→6,900千円」となります。
売上高を1%+限界利益率1Pアップ
では「複合技」です。
「売上高を1%アップ」
「限界利益率も1Pアップ」
(現状)
| 売上高 | 300,000 |
| 変動原価 | 180,000 |
| 限界利益 (対:売上) | 120,000 40% |
| 事業コスト | 90,000 |
| 創造付加価値 | 30,000 |
| 経営コスト | 24,000 |
| 経常利益 | 6,000 |
| 法人税等(概算) | 2,400 |
| 税引後利益 | 3,600 |
(改善後)
| 売上高 | ★303,000 | 101% |
| 変動原価 | 178,770 | 100% |
| 限界利益 (対:売上) | 124,230 ★41% | 103.5% |
| 事業コスト | 90,000 | – |
| 創造付加価値 | 34,230 | 114% |
| 経営コスト | 24,000 | – |
| 経常利益 | ★10,230 | 170% |
| 法人税等(概算) | 4,092 | |
| 税引後利益 | ★6,138 | 170% |
経常利益は
「改善前:6,000千円」だったのが、
「改善後:10,230千円」に変化しました!
約1.7倍です。
さて、御社の数字では、何倍になったでしょうか?
このシミュレーション、どう感じましたか?
もし「意外!」と感じたなら、このロジックを活用する価値と期待が持てます。
なぜなら「今まで、こんな計算してみたことはなかった」はずだからです。
経営者なら、この「意外な計算結果」にアタマが刺激されたのではないでしょうか?
「たかが1%、されど1%」です!
上記の「経営者の引退」を計算してみると…
「税引後利益」は「3,600千円→6,138千円」に変化しましたが、これを10年、20年積み重ねて比較すると?
- 改善前:3,600千円
→10年で3、6,000千円
→(さらに10年)
→72,000千円 - 改善後:6,138千円
→10年で、61,380千円
→(さらに10年)
→約1.2億円!
売上を1%、
限界利益率は1Pアップするだけで
20年後の「手元資金」は
「72,000千円→1.2億円」。
約5000万円ほど「手取り」が変わります。



老後の年間生活費を500万円とすれば、寿命は10年伸びる(笑)
さて、どうですか?
【行動計画】
もっと儲けるためにどうする?
さて
「小さな刺激」でも
「大きく感じる」ことを確認しました。
さりとて、これは「机上の空論」。
実際に収益力を高めるためには
「どこを?」「どれだけ?」
改善できるか?を
具体化しなければなりません。
もっと儲けるためにどうするか?
その答えは、業種・規模・現状の違いに応じて様々です。
ただ、具体化するときのステップは同じです。
Step1
感度分析の精度を高める
上記の「感度分析」のシミュレーションですが、実務的にはもう少し細かな計算が必要です。
例えば、上記の試算は「事業コスト」は変わらずという条件でしたが、実際には、そのためにメンバーを増やすなど、固定的なコストのアップが必要なことがあるでしょう。
また、案外盲点(聖域?)になるのが「経営コスト」。
売上や利益率を改善しなくても、役員報酬や交際費などの削減の余地が残ってるかもしれません。
感度分析の過程において「あらゆる可能性」をもれなく確認するようにしましょう。
Step2
感じるところを絞り込む
「一点集中」か、それとも「複合技」か?
下記の視点を参考にして決定してください。
- 効果性:より大きな改善ができること
- 即効性:効果が出やすいこと
最も効果的な組み合わせについて、優先順位に注意して方針決定しましょう。
Step3
行動計画と担当割
具体的な改善スケジュールを明確にし、担当者を配置しましょう。
その際には、上記の計算を示し「小さなことが大きな効果を産む」ことをチーム全員で共有しましょう。
売上高、限界利益率、コスト、いずれも「全社的な取り組み」にすることが効果的です。
また、効果も共有するため、モニタリングしやすいように「予算化」することを強くオススメします。
Step4
モニタリング
行動が始まれば、
「期待通りの効果は得られているか?」のモニタリング。
管理会計を活用し、定例会議を開催することがオススメです。
ここからは、PDCAをグルグル回して「体質改善」を推し進めていきましょう!
【要点整理】
必要利益を確実に獲得する
さて、どうでしょう?
タイトルには「1.7倍ロジック」と書きましたが、何もこの数字が固定しているわけではありません。
「小さな数字のインパクト」を疎かにしない
「視点」の話です。
また、これは「会計的な計算技術」に留まらず、中小企業経営者の「ハッピーリタイアメントのためのロジック」でもあります。
そのポイントを再掲します。
- 実質純資産の目標設定を行う
- 実質純資産の目標達成ため、
与えられた時間にどれだけの利益が必要か?を把握 - 必要利益を確実に獲得するため
「小さなことを疎かにしない」 - 理想を現実にするため、
PDCAをグルグル回す!
ハッピーリタイアのため、この記事もおススメです!


お役に立ちますように!






