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収益性の改善|たった1%で利益が1.7倍のロジック

2026 3/19
2026年3月19日
H.HORII

たった1%で利益が1.7倍?
たかが1%で?
そんな調子のいい話があるもんか!
ん?あるの?
確かに・・・

「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するためのヒントを日々更新しています。
元税理士のマネジメントコーチ・堀井弘三が、40年近くの経験と知識に基づき執筆しています。

INDEX

【常識再考】
当たり前の計算を再確認する

利益=収益-費用

シンプルすぎて拍子抜けするこの計算式。

でも、収益力改善の本質はこのたった一行です。

費用を最小化し、
収益を最大化すると
もっと儲かる。

この「当たり前」に
異論はないはず

でも実際は、なかなかカンタンではない。

この極めて当然の常識の確認から始めましょう。

なぜなら、多くの中小企業経営者が「収益を上げること」に偏っているからです。

安売り!
広告!
人員増!
投資!…

…様々な施策によって収益を拡大しても、利益がついてこない…

心当たりはありませんか?

「利益が目的、売上は手段」って百も承知なのに
「売上が目的」になっていませんか?

【必要利益】
どれだけ儲ければいいか?

もうひとつ、盲点となっているはずの「当たり前」の話をしておきます。

「経営者の引退」の話。

中小企業の多くはオーナー企業であり、経営者の引退は「譲渡(相続を含む)」か「清算」の2択です。

いずれであっても、そのときの「評価額」は、大雑把にいうと「実質純資産」。

つまり、創業以来の利益の積み重ねです。

これが引退時の「退職金」や「株式譲渡収入」となって、経営者の手元に入ってきます。

ストレートに聞きます。

「そのとき、いくら欲しいですか?」

  • 1億円ですか?
  • 5億円ですか?
  • 10億円ですか?
  • それでも足りませんか?

これが
「いくら儲けるか?」の
「目標額の最終地点」です。

  • もう十分なら、今後は「トントン」でいいかも
  • 天変地異に備えて「青天井」で拡大すべきかも
  • 全く足りないので「もっと利益が必要!」かも

さて、あなたの「事情」はどうですか?

百社百様・百人百様なので「こうすべき」という正解はありません。

しかし「自分の正解」を自覚して整理しておかなければ、短期的な利益で一喜一憂することになり、その結果…

  • せっかくの利益を間違った節税で溶かす
  • 目標なき経営で、結局、貯まらず
  • たっぷり貯めたのに、思わぬ「出口課税」

…というような「想定外」で頭を抱えることになります。

「実質純資産=内部留保はいくら必要か?」

「自分の正解」が明確になって初めて
「もっと儲けたい!」が意味を持ちます。

儲けたいに理由なんかないよ!

もっと実質純資産=内部留保を厚くしたいから、もっと儲けたい!

この両者の差は、将来、大きな差になります。

簡単な計算式を示しておくので参考にしてみてください。

  • 引退時に欲しいキャッシュ:5億円
  • 現在の実質純資産:1億円
  • 不足額:4億円(5-1億円)
  • 引退まで20年だとすると…
  • 毎期平均必要税引「後」利益:2,000万円

こんな具合です。

法人税率を約35%として、
税引「前」利益で計算すると
「約3,000万円/年を20年間続ける」
 ことが必要になります。

あわせて読みたい
03:中小企業の価値|本当の内部留保を把握している? 「内部留保?」聞いたことはあるけど、気にしたことはないなあ。え?人生を左右するって?そんなに「大げさな話」なん? いきなりですが・・・ ある経営者が60歳で還暦…

【現状確認】
自社の収益構造を確認

大事な前置きだったので長くなってしまいました。

「もっと儲けるための計算実務」に進みましょう。

さっきの「収益-費用=利益」のシンプルな計算式。

経営実務においては「損益計算書(PL)」になります。

ただ、ここで必要なのは、
その「管理会計バージョン」である
「進化型MA損益計算書」。

収益力改善に取り組むにあたって、まずこのフォーマットで「自社の収益構造」を正しく現状把握しましょう。

下記にサンプルを示します。

ここからは、数字が並ぶので、ゆっくり丁寧に読んでください。

「サラッ」と流すと、
あとの「1.7倍にするロジック」が
分からなくなってしまいます。

売上高300,000
変動原価180,000
限界利益
(対:売上)
120,000
40%
事業コスト90,000
創造付加価値30,000
経営コスト24,000
経常利益
(=税引前利益)
6,000
法人税等(概算)2,400
税引後利益3,600

このサンプル(単位:千円)をよく見て、次について確認してみてください。

  • 「売上高」から、最後の「税引後利益」までの計算プロセス
  • 「限界利益」が「売上高」の40%であること
  • 「固定コスト」が「事業コスト」と「経営コスト」に大別されていること
  • 「創造付加価値」という見慣れない項目があること
  • 「経常利益」の40%が概算の法人税として計上されていること
  • 「税引後利益」が、3,600千円であること

以上が確認できれば、あなたの会社の直近の決算書に基づいて各項目を埋めて、同じように確認してみてください。

なお、この目的は「収益構造の確認」であって「細かな数字」に捉われる必要はありません。

大まかな数字でいいので、ざっくりと埋めてみましょう。

また、臨時的な損益である「特別利益」や「特別損失」が計上されていても、ここでは無視。

「どんな体質なのか?」が分かればOKです。

あわせて読みたい
03:管理会計の損益計算書|収益力改善の課題が見える 管理会計の損益計算書なら収益構造の課題が見える!だから、課題解決も速い!だから、まだまだ儲かる! 「損益計算書」を「毎月、見ていますか?」 「売上と利益」だけ…

【感度分析】
どこがイチバン感じるか?

収益力改善に取り組むときの「定番」が「感度分析」です。

「どこを触れば、イチバン感じるのか?」

上記のサンプルを用いて、その例を示すので、あなたの会社の数字でも同じように計算してみてください。

売上高300,000
変動原価180,000
限界利益
(対:売上)
120,000
40%
事業コスト90,000
創造付加価値30,000
経営コスト24,000
経常利益6,000
法人税等(概算)2,400
税引後利益3,600
  • 売上高を1%アップすれば?
  • 限界利益率を1ポイントアップすれば?
  • 事業コストを1%削減したら

このように、それぞれ「1%(1P)」を改善すれば「経常利益」にどれくらいのインパクトがあるでしょう?

売上高1%の影響試算

売上高を「1%」だけアップしてみましょう。

売上高:300,000千円×1%=3,000千円。

(現状)

売上高300,000
変動原価180,000
限界利益
(対:売上)
120,000
40%
事業コスト90,000
創造付加価値30,000
経営コスト24,000
経常利益6,000

(改善後)

売上高★303,000101%
変動原価181,800101%
限界利益
(対:売上)
121,200
40%
101%
事業コスト90,000–
創造付加価値31,200104%
経営コスト24,000–
経常利益★7,200120%

「固定コスト(=事業+経営)」はそのままだとすれば、「経常利益」は、1,200千円アップします。

売上の1%で、経常利益は、
20%アップする
ことが分かります。

限界利益1Pの影響試算

次は、限界利益率を「40%→41%」にアップ。

(現状)

売上高300,000
変動原価180,000
限界利益
(対:売上)
120,000
40%
事業コスト90,000
創造付加価値30,000
経営コスト24,000
経常利益6,000

(改善後)

売上高300,000100%
変動原価177,00098.3%
限界利益
(対:売上)
123,000
★41%
102.5%
事業コスト90,000–
創造付加価値33,000110%
経営コスト24,000–
経常利益★9,000150%

売上高:300,000×1%で、
限界利益は3,000千円増です。

経常利益は「6,000→9,000千円」と
50%アップ!
つまり、
限界利益の1ポイントアップで
経常利益は「1.5倍」に
なりました!

事業コスト1%の影響試算

結果は分かっていますが、一応計算しておきましょう。

事業コスト90,000千円×1%=900千円を削減。

(現状)

売上高300,000
変動原価180,000
限界利益
(対:売上)
120,000
40%
事業コスト90,000
創造付加価値30,000
経営コスト24,000
経常利益6,000

(改善後)

売上高300,000100%
変動原価180,000100%
限界利益
(対:売上)
120,000
40%
100%
事業コスト★89,10099%
創造付加価値30,900103%
経営コスト24,000–
経常利益★6,900115%

経常利益は「6,000→6,900千円」となります。

売上高を1%+限界利益率1Pアップ

では「複合技」です。

「売上高を1%アップ」
「限界利益率も1Pアップ」

(現状)

売上高300,000
変動原価180,000
限界利益
(対:売上)
120,000
40%
事業コスト90,000
創造付加価値30,000
経営コスト24,000
経常利益6,000
法人税等(概算)2,400
税引後利益3,600

(改善後)

売上高★303,000101%
変動原価178,770100%
限界利益
(対:売上)
124,230
★41%
103.5%
事業コスト90,000–
創造付加価値34,230114%
経営コスト24,000–
経常利益★10,230170%
法人税等(概算)4,092
税引後利益★6,138170%

経常利益は
「改善前:6,000千円」だったのが、
「改善後:10,230千円」に変化しました!

約1.7倍です。

さて、御社の数字では、何倍になったでしょうか?

このシミュレーション、どう感じましたか?

もし「意外!」と感じたなら、このロジックを活用する価値と期待が持てます。

なぜなら「今まで、こんな計算してみたことはなかった」はずだからです。

経営者なら、この「意外な計算結果」にアタマが刺激されたのではないでしょうか?

「たかが1%、されど1%」です!

上記の「経営者の引退」を計算してみると…

「税引後利益」は「3,600千円→6,138千円」に変化しましたが、これを10年、20年積み重ねて比較すると?

  • 改善前:3,600千円
    →10年で3、6,000千円
    →(さらに10年)
    →72,000千円
  • 改善後:6,138千円
    →10年で、61,380千円
    →(さらに10年)
    →約1.2億円!

売上を1%、
限界利益率は1Pアップするだけで
20年後の「手元資金」は
「72,000千円→1.2億円」。

約5000万円ほど「手取り」が変わります。

老後の年間生活費を500万円とすれば、寿命は10年伸びる(笑)

さて、どうですか?

【行動計画】
もっと儲けるためにどうする?

さて
「小さな刺激」でも
「大きく感じる」ことを確認しました。

さりとて、これは「机上の空論」。

実際に収益力を高めるためには
「どこを?」「どれだけ?」
改善できるか?を
具体化しなければなりません。

もっと儲けるためにどうするか?

その答えは、業種・規模・現状の違いに応じて様々です。

ただ、具体化するときのステップは同じです。

Step1 
感度分析の精度を高める

上記の「感度分析」のシミュレーションですが、実務的にはもう少し細かな計算が必要です。

例えば、上記の試算は「事業コスト」は変わらずという条件でしたが、実際には、そのためにメンバーを増やすなど、固定的なコストのアップが必要なことがあるでしょう。

また、案外盲点(聖域?)になるのが「経営コスト」。

売上や利益率を改善しなくても、役員報酬や交際費などの削減の余地が残ってるかもしれません。

感度分析の過程において「あらゆる可能性」をもれなく確認するようにしましょう。

Step2 
感じるところを絞り込む

「一点集中」か、それとも「複合技」か?

下記の視点を参考にして決定してください。

  • 効果性:より大きな改善ができること
  • 即効性:効果が出やすいこと

最も効果的な組み合わせについて、優先順位に注意して方針決定しましょう。

Step3 
行動計画と担当割

具体的な改善スケジュールを明確にし、担当者を配置しましょう。

その際には、上記の計算を示し「小さなことが大きな効果を産む」ことをチーム全員で共有しましょう。

売上高、限界利益率、コスト、いずれも「全社的な取り組み」にすることが効果的です。

また、効果も共有するため、モニタリングしやすいように「予算化」することを強くオススメします。

あわせて読みたい
中小企業の予算管理|管理会計でPDCAをグルグル回す! 「予算管理」がなければ「管理会計」の効果は半減です。もし「健全な成長」を望むのであれば、迷う必要はありません。

Step4 
モニタリング

行動が始まれば、
「期待通りの効果は得られているか?」のモニタリング。

管理会計を活用し、定例会議を開催することがオススメです。

ここからは、PDCAをグルグル回して「体質改善」を推し進めていきましょう!

あわせて読みたい
管理会計の有効活用|経営会議をもっと良くする6視点 「経営会議」は毎月定例開催しましょう。「管理会計は活用してナンボ!」です。

【要点整理】
必要利益を確実に獲得する

さて、どうでしょう?

タイトルには「1.7倍ロジック」と書きましたが、何もこの数字が固定しているわけではありません。

「小さな数字のインパクト」を疎かにしない
「視点」の話です。

また、これは「会計的な計算技術」に留まらず、中小企業経営者の「ハッピーリタイアメントのためのロジック」でもあります。

そのポイントを再掲します。

  • 実質純資産の目標設定を行う
  • 実質純資産の目標達成ため、
    与えられた時間にどれだけの利益が必要か?を把握
  • 必要利益を確実に獲得するため
    「小さなことを疎かにしない」
  • 理想を現実にするため、
    PDCAをグルグル回す!

ハッピーリタイアのため、この記事もおススメです!

あわせて読みたい
01:経営計画の本質|経営者の「人生計画」 「もっといい会社」にしたいのは・・「もっといい人生」を送りたいから。だから「経営計画」は、「人生計画」と表裏一体。 中小企業が「もっといい会社」に成長し、「ず…

お役に立ちますように!

4部-活用編
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この記事を書いた人

H.HORIIのアバター H.HORII マネジメントコーチ

思考のスパーリング・パートナー

もっとエエ会社にしたいなら、
もっとエエ経営者になればええねん!

これが口ぐせ。

1999年に税理士事務所を創業し、
勤務時代も含めると約40年近く
300人を超える中小企業経営者の
成功と失敗を特等席で見てきた
「超実務家」。
2022年に幸せな事業承継を遂げ、
自ら「経営の入り口から出口まで完走」。

現在はマネジメント・コーチとして、
20〜40代の次世代経営者を
「あおって、いやして、元気づけて」
パフォーマンスを最適化するのが仕事。
その現場で得た「もっとよくなるヒント」を
惜しみなく日々発信中。

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