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08:管理会計の実装|”経理”が”参謀”に変わった!

2026 2/23
2026年2月23日
H.HORII

「経理」が「参謀」に変わる?
そんなことが可能なのか?
それを実現したある小さな会社の

リアルストーリー

「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するためのヒントを日々更新しています。
元税理士のマネジメントコーチ・堀井弘三が、40年近くの経験と知識に基づき執筆しています。

「経理」が「参謀」に変わるなんて想像できないよ!

そんな経営者の方に、
「想像してほしい!」と思い、
そのリアルを再現してみました。

私が、数多くの中小企業で「管理会計を実装」してきた回想記録。

一人でも多くの経営者に「できそう!」と感じてもらえれば!と思い、「AI達」に協力してもらいました。

もちろん、フィクションですが、まあまあリアルにできたかな?と思います。

お役に立てばいいのですが…。

INDEX

【回想再現】
経理が参謀に変わっていく!

登場人物はこちら

  • 前田トシオ
    50代・製造業・従業員35名のKHLD社代表取締役
  • 松島マツコ
    40代・経理歴15年のベテラン担当
  • 木下ヒデオ
    50代・顧問税理士・前田社長の同級生
  • ホリイ
    株式会社マーカス・マネジメント代表・元税理士

Scene 1 
きっかけは「お問い合わせ」から

夏のある夜、いつものバーのカウンター。

ケータイで「お問い合わせ」からのメッセージに気付く。

貴社サイトの「やたら会計に強い経営者になればいい」を読みました。一度、会って話したいのですが。
ーー KHLD社 前田としお

この社長も、一人で「モヤモヤ」しておられるんやなと思う。

酔いも手伝ってか「任して!」とつぶやいてから、ていねいにお返事した。

Scene 2 
初回面談「この会社なら大丈夫!」

KHLD社に訪問。

さっそく、社長室に通してもらうと、すでに、前田社長と、経理を担当されている松島さんがお待ちだった。

「はじめまして!マーカスのホリイです。」

三者の初顔合わせだ。

さっそく、前田社長が
「毎月、試算表を見ているんですが、正直、よくわからなくて」と、話し始めてくれた。

松島さんは(私のせいみたいに言わないでよ)という顔をしてるが、よくあることだ。

「分からないのは、試算表ではなく、経営が、ですよね?」

「そう。貸借対照表も損益計算書も知っています。でも、そこに並んでいる数字が、いいのか?わるいのか?モヤモヤしてるんですよ。」

「前田社長のモヤモヤは、視点の問題だと思いますが、この記事を読んでみてください。」

私は、例の記事をその場で紹介し読んでもらった。

経営参謀の育成|バックオフィスを戦力化する視点

社長は、読み終えて「これ!まさにこれ!」と少々興奮気味。

松島さんは、想定通り「私を戦力化?」という顔をして、すでにバリアを張り始めている。

社長は、そんな松島さんの反応には気付くこともなく、

「ホリイさん!ぜひ、このバックオフィスの戦力化のサポートしてください!」

「し、承知しました。喜んで!」

さっそく、お引き受けすることになったが、「見積書」を確認してないけど、いいのかな?と、私は心で苦笑してた。

Scene 3 
経理の現状をヒアリング

数日後、ふたたびKHLD社を訪れた。

今回の目的は「経理の現状把握」。

経理室で、担当の松島さんにヒアリングした。

「松島さん、お忙しいところ、ありがとうございます」

「いえ・・・」

「では、さっそくなんですが・・・」

ヒアリングした主なものはこれ。

  • 毎月、試算表を社長に提出するのはいつ頃?
  • 松島さんと顧問税理士先生との役割分担は?
  • 現在、月次処理で困っていることは?
  • 毎月のルーティンで忙しい時期は?
  • 売上の数字は、どこから入手してる?
  • 給与計算は、どなたが?

相変わらず表情はさえないが、ていねいに教えてくれるので、ありがたい。

1時間ほどのヒアリングで、毎月の試算表がアウトプットされるまでのフローや問題点が見えた。

「松島さん、ちょっと聞き辛いことお聞きしますが…」

「はい、なんでしょう?」

「前田社長って、会計のこと、よくお分かりですか?」

「は、はい…。でも、売上と利益しか見てないと思います」

「ロクに見ないで、モヤモヤしておられる?」

「そ!そうなんですよ!」

松島さんの表情が、初めてほころんだ。

少し、私のことを(ひょっとしたら味方かも?)と思ってくれた気がする。

私は、心の中で小さくガッツポーズをした。

Scene 4 
社長と課題共有、そして宿題

KHLD社社長室。

先日の、ヒアリング結果を社長に報告して課題共有。

「社長、現状の課題と解決策が整理できました。」

「はい、どうでしたか?」

  • 松島さんの経理処理能力は充分であること
  • 月次処理が遅延するのは、営業や資材担当からの資料提供が遅いことが原因であること
  • 毎月の在庫計上の意識がないこと
  • 製造業であるにも関わらず、減価償却費が月々計上されていないこと

その他、様々な課題を共有したが、そのあと…。

「社長には、耳が痛いことだと思いますが」と前置きして

「社長、会計の勉強をしたことがないでしょ?」

「だから、モヤモヤしてるんです」と畳みかけた。

前田社長は、キョトンとしたあと、ばつが悪そうに頭をかいた。

「どうすればいいですか?」

先日、読んでもらった記事に書いていましたが・・・

「え?あの総勘定元帳を読め!って話ですか?」

「そうです!話が早い!」

「そんな時間、あるかなあ…」

「え?このままずっと、モヤモヤし続けるおつもりですか?」

「ホリイさん、噂通りのイジワルやなあ…」

「社長のためですから!」

「わかりました!」

「約束ですよ!」

Scene 5 
松島さんのバリア突破!

いよいよ、実務。

再び、松島さんを訪ねた。

「松島さん、先日はありがとうございました。」

「いえ、お役に立てましたか?」

「もちろんです!課題は社長とも共有できましたし…」

「でも、そのおかげで、とても忙しくなりました…」

「え?」

「毎日のように、総勘定元帳を抱えた社長が、これナニ?これは?これは?ってうるさくて……しょっちゅう手を止められます」

「あ、社長、ちゃんと宿題をやってくれているですね(笑)」

「笑い事じゃないですよ、ホリイさん!」

「今だけですから!少しだけガマンしてください!」

手を合わせてお願いし、薄目で松島さんの表情をうかがう。

口では困ってるって言ってるけど、表情は、心なしかうれしそう。

「やりがいのない仕事」が、「ひょっとしたら、やりがいある仕事かも」って感じ始めてるんだ、と私は知ってる。

だって、今までは「ロクに見てもらえない試算表」を届けるだけだったから。

私は、2回目の「心のガッツポーズ」をした。

松島さんのバリア突破のチャンスがやってきた。

「松島さん、勘定科目を一新したいんですが」

「は?どういうことですか?」

「松島さんの試算表って、今までは集計表でしたよね?」

「は、はい。でも、試算表ってそういうものでしょう?」

「はい、普通の会社の試算表はそうです。集計表。」

「で、どうしろと?」

「今回、御社の試算表を経営に役立つ情報に進化させるんです。これが、そのための新旧対比リストです。」

  • 旅費交通費→交通費・出張費・通勤手当
  • 接待交際費→営業交際費・役員交際費
  • 減価償却費→減償費:設備・減償費:本社
  • (以下、その他20数項目)

「え?こんなに?こんなに変えてしまっていいんですか?この変更は木下先生の許可が必要だと思います。」

「税理士先生ですよね?じゃあ、先生が了解してくれれば、進められますよね?」

「はぁ、はい、木下先生がいいって言うなら」

Scene 6 
顧問税理士に協力依頼

木下税理士事務所に、前田社長とともに訪問。

今回の「管理会計実装」の取り組みをご説明。

すると、木下先生。

「松島さんのご様子は?」

松島さんがどのような反応を示されたかをすでにお察しで、心配のご様子。

「先生、お気遣い、ありがとうございます」

続けて、これまでの経緯と、これからの進め方についてご説明差し上げた。

「それなら、安心です。ただ、当方の手間が多少増えますが…」と言って前田社長に目配せ。

前田社長は、即答。

「わかってるよ!報酬アップだろ?」

木下税理士は、にっこりして、今回の取り組みに全面的に協力する旨を示してくださった。

「ありがとうございます!」

自然にガッツポーズが出て、二人に笑われた。

Scene 7 
いよいよ実務に着手!

社長の勉強も進み、税理士先生の協力も取り付けた。

「外堀」は着々と埋まってる。

さ、いよいよ「実務」だ。

「松島さん!木下先生、全面協力するって言ってくださいましたよ!」

「はい、すでに社長から聞きましたよ。」

スムーズに事が進んで、前田社長も嬉しかったことが伺える。

「で?」。

「??」。

「いよいよ、やるんでしょ?」

「ありがとうございます!では・・・」

松島さんにお願いする仕事について説明した。

「…ってことで、まず、新しい勘定科目を設定して…」
「…今後は、その新しい科目で処理してください…」

「今後は、ですね?」

「いや、期首にさかのぼって、過去のデータも新しい科目に修正してほしいんです」

「え!?期首?」

「は、はい!」

「わ・か・り・ま・し・た!」

今回ばかりは、ガッツポーズが素直に出てこなかった。

半泣きになっている松島さんに深々と頭を下げた。

「松島さん!ありがとうございますっ!」

期首からの数か月分のデータ修正には、それなりの手間がかかるのを知っているだけに、心のなかでは「ごめんね!」って気持ちだった。

Scene 8 
シン・試算表!

あれから1ヶ月が経った。

松島さんから「修正した会計データ」のファイルが届いたので、チェック。

見事に「新しい勘定科目」の「シン・試算表」となっていた。

これで、自信を持って社長にご報告できる。

さっそく、KHLD社に訪問。

社長室。

「どう?できたって?」

「はい、社長!」

松島さんが、誇らしいのか、恥ずかしいのか、よくわからない複雑な表情で・・・

「社長、これです。どうですか?」

松島さんから「シン・試算表」を手渡された社長。

その第一声に思わず笑ってしまった。

「ん?これ、ウチの試算表?」

「社長、何を言ってるんですか?」

「まぎれもなく、KHLD社の試算表ですよ!」

「これだ!これだ!違和感がなくなってるよ!」

前田社長の、新しいおもちゃを買ってもらった子供のような反応に、松島さんも思わず笑ってた。

「松島さん!ありがとう!大変だったでしょ?」

前田社長は、松島さんをねぎらい、お礼を言ってくれた。

「いや、ホリイコーチのおかげです、社長」

ん?あれほど「平和を乱す侵略者」のように、私のことを見てた松島さんが「コーチ」って言ってくれた。

心の中で「惚れてまうやろ!」って小さく叫んだ。

でも、これで完成ではない。

「社長、これで無事に前半戦が終わりました。」

「ん?前半戦?」

「はい、後半戦では、この試算表をマネジメントレポートに変換します。」

松島さんが一瞬凍り付いたことに気付いて…

「後半戦は、私の仕事です。松島さん、安心してください!」

社長に2週間の時間をもらって、さっそく「レポート制作」にとりかかることにした。

実務的にもっと詳しい話は・・・
01:管理会計の実装|設計・構築・運用のステップ 「管理会計をやろう!」と決めたもののどこから手を付ければいいのか? そんな「管理会計の入口」で立ち止まっている中小企業の経営者の方のために「設計→実装→運用のざ…

Scene 9 
マネジメントレポートのお披露目

KHLD社、社長室。三者、再集合。

「マネジメントレポートの試作版ができました!」

「なんじゃこりゃ!」

この「なんじゃこりゃ!」って反応は初めてではない。想定済みだ。

レポートを凝視している社長の隣で…

「これ、私が作った試算表がベースになってるんですか?」

「もちろんじゃないですか!松島さんのデータがなければ、これは生まれていませんよ!」

今度は間違いなく、誇らしい表情を見せてくれた。

社長も、満足してくれたようで、安堵する。

「いや、サンプルは見せてもらってたけど、自社の数字で見ると、改めて、この凄さを実感するよ!」

「松島さん、君のおかげだよ!本当にありがとう!」

「いえ……ホリイコーチが言うとおりにしただけですよ、私は」

私は、年甲斐もなく照れ隠し。

「いやいや、松島さんの、お・か・げ!」

松島さん、しみじみと

「役に立てるって、こんなにうれしいんですね」

「松島さん!給料、5万円アップするよ!情報手当だ!」

「え!!!」

「ホリイさんの高い顧問料に比べれば安いもんよ!」

前田社長の本気か冗談かわからないコメントを受けて…

「ですよね~(笑)、でも、松島さん、良かったですね!」

「はい、今度、ごちそうします!」

ホンマに惚れてまうやろ!って、また思った。

・・・おしまい・・・

【要点解説】
経理を参謀にする3ステップ

「経理担当」を「参謀」にする実務を再現しました。

「参謀」という言葉のイメージとは違ったかもしれませんが、「経営情報を提供してくれる役割」というだけで「初めの一歩」は充分だと思います。

この話には、続編があります。

部門会計、予算管理、経営計画と進化していくステップです。

そのステップを通じて「松島さん」は、まだまだ成長していきます。

でも、その起点は
「経理」は
「事務処理」ではなく「情報処理」であると
「視点転換」することから始まります。

さて「できそう!」と感じてくれましたか?

それとも「やりたい!」と思ってくれましたか?

おさらいしておきましょう。

このストーリーを整理すると、実は3つのステップしかありません。

  • Step 1:経営者が動く
    総勘定元帳を熟読し、違和感をピックアップする。
    「社長が帳簿を読んでいる」という事実だけで、現場の空気は変わり始めます。
  • Step 2:関係者を巻き込む
    経理担当、顧問税理士、それぞれの「立場と利益」を理解した上で対話する。
    「指示」ではなく「対話」が、抵抗勢力を協業仲間に変えます。
  • Step 3:小さな成功を認める
    「違和感がなくなってる!」「なんじゃこりゃ!」
    そんな経営者の言葉で「経理担当」を「情報担当」に引き上げることができます。

松島さんの「役に立てるって、こんなにうれしいんですね」という言葉が、すべてを物語っています。

お役に立ちますように!

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04:経営参謀の育成|バックオフィスを戦力化する視点 バックオフィスの視点を「事務処理」から「情報処理」に変えれば「経営参謀」として機能する。さて、どうすれば、その視点転換は進むのか? もとは軍隊で作戦立案を担う…
3部-構築編
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この記事を書いた人

H.HORIIのアバター H.HORII マネジメントコーチ

思考のスパーリング・パートナー

もっとエエ会社にしたいなら、
もっとエエ経営者になればええねん!

これが口ぐせ。

1999年に税理士事務所を創業し、
勤務時代も含めると約40年近く
300人を超える中小企業経営者の
成功と失敗を特等席で見てきた
「超実務家」。
2022年に幸せな事業承継を遂げ、
自ら「経営の入り口から出口まで完走」。

現在はマネジメント・コーチとして、
20〜40代の次世代経営者を
「あおって、いやして、元気づけて」
パフォーマンスを最適化するのが仕事。
その現場で得た「もっとよくなるヒント」を
惜しみなく日々発信中。

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