「スキルはあっても、冷めた人材」
「スキルはないけど、熱い人材」
さて、どっち?
人材の見極めの重要視点。
「保有能力」と「発揮能力」。
前回は、マーケティング視点による「採用力を構成する3つの要素」について整理しました。
- 会社の魅力
求職者にとっての魅力を明確にする - 発信力
採用時だけではなく、日常から認知度を高めておく - 見極め力
スキルだけではなく、マインドセットも含めた具体的な採用基準を言語化しておく
今回は「見極め力」を深掘りしていきます。
見極め力とは
「この応募者は、求めている人材なのか?を見極めるチカラ」です。
さて、「見極めのポイント」は?
本稿では、「見極めの成功確率を高める視点」を整理します。
10人~200人規模の中小企業経営者の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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【組織戦略】
「採用」の戦略的位置づけ
本題に入る前に「なんの話か?」を確認しておきましょう。
「中小企業の組織戦略」の目的は、「最高のチーム作り」を通じて「もっといい会社」に成長することです。
その戦略要素は「組成・採用・育成・評価・分配」の5つ。

「人材採用」は、「組織戦略」の一部、
「組織戦略」は、「経営戦略」の一部。
つまり、
「採用」は
「経営戦略の仕組み」のひとつであり、
「理念(経営目的)を実現するための仕組み」です。
「採用」は「組織戦略」の「入口」。
チーム力を高め、もっといい会社にするための「戦略的テーマ」。
採用がうまくいくと
↓
チームが強化され
↓
戦略実行は順調に進む
↓
だから「もっといい会社」になる・・・
・・・という連鎖の構造です。
この連鎖、一見「当たり前」に見えますが、この「当たり前」を忘れると「採用ミス」が起きていしまいます。
まず、この「採用の戦略的位置づけ」を共有してから、本題に入りましょう。
【現状確認】
よくある採用の失敗
- 知識や経験は充分のはずなのに、なぜか、貢献度が低いなあ
- スキルは認めるけど、単独プレーが多く、チームに馴染んでないなあ
- 前職での実績は素晴らしいのに、それを当社では活かしきれてないなあ
こんな経験はありませんか?
その原因は・・・
「保有能力」だけを見て
「発揮能力」を見ずに採用してしまったからです。
- 履歴書に書かれた学歴、職歴、資格等・・・
- 面接で聞いた前職の経験や知識・・・
これらはすべて「保有能力」です。
この「持っている能力」は、確かに重要です。
むしろ「ない袖は振れぬ」からです。
だから「ある袖は振れる」はず・・。
しかし「ある袖を振らん?」って・・・。
「保有能力」を「発揮」してもらわないと、上記のように経営者を悩ませます。

期待もあって、
「スキルがあれば活躍するに決まってる」と、信じて疑わないからですね・・・
【見極視点】
保有能力と発揮能力
「保有能力」と「発揮能力」の違いを整理にしましょう。
保有能力とは
「保有能力」は、文字通り、その人が「持っている」スキル、知識、経験のことです。
学歴や職歴、保有資格、専門知識、技術スキル、前職での実績・・・
これらは履歴書や職務経歴書に書かれる内容です。
客観的に測定しやすく、面接でも確認しやすい能力です。
発揮能力とは
「発揮能力」も、文字通り。
「保有能力」を「チームのために使うチカラ」のことです。
同じ「保有能力」を持っていても、それを発揮できる人とできない人がいます。
では、その違いは何か?
「保有能力」を発揮できない理由には、いろいろ考えられますが、私は、その中でも特に「その気」の影響が大きいと思っています。
そこで、次の式で表してみました。
発揮能力 = 保有能力 × 貢献欲
「保有能力」も「貢献欲」も両方高ければ、「発揮能力」は申し分ないはずです。
しかし、「保有能力」がどれだけ高くても、「貢献欲」が低ければ、「発揮能力」は低くなります。
逆に、「保有能力」が発展途上でも、「貢献欲」が高ければ、「発揮能力」は高くなります。
これが「掛け算」の意味です。
【構造確認】
「掛け算」あれこれ
発揮能力 = 保有能力 × 貢献欲
このフレームワークが、「足し算・引き算」ではなく、「掛け算」である理由を確認しましょう。
例えば、「保有能力」を、そのまま発揮できる人材の貢献欲は「1」です。
保有:100 × 貢献欲:1= 発揮:100
「保有能力」と「発揮能力」が一致していて、まさに「期待通りの働き」の状態です。
でも・・・
貢献欲がゼロなら、すべてゼロ
どんなに高い保有能力を持っていても、それをチームのために使う気がなければ、発揮能力はゼロです。
保有:100 × 貢献欲:ゼロ = 発揮:ゼロ
「持っているのに、なぜ使わない?」
「宝の持ち腐れ?」
「発揮:ゼロ」ということは、「いても、いなくても同じ人」です。
もし、保有能力で評価したために、高給になっているときは「コスパのワルイメンバー」ってことになります。
保有能力より貢献欲
逆に、保有能力が発展途上でも、貢献欲が高ければ活躍の期待が高まります。
保有:50 × 貢献欲:2= 発揮:100
労務問題を横において例えるなら、休日出勤や残業などで「人の2倍仕事する人」です。
「チームの役に立ちたい」という強い気持ちで一生懸命取り組んでくれます。
また、成長意欲も高いので、「保有能力」の不足分を徐々に埋めていく期待ができます。
いわゆる「伸びしろがある人」ですね。
両方高いと相乗効果
もちろん、保有能力も貢献欲も両方高い人材は、最強です。
保有:100 × 貢献欲:2 = 発揮:200
充分な能力を保有しているのに、「まだまだ、もっともっと」って感じです。
持っている力を惜しみなくチームのために使い、さらに成長しようとする人材。
【重要視点】
「貢献欲」とは何か
では、発揮能力を左右する「貢献欲」とは何か?
「その気」と上述しましたが、貢献欲とは、シンプルに「役に立ちたい」という「欲求(WANT)」のことです。
役に立たなければならないという「義務感(MUST)」ではありません。
もっと根源的な、内から自然と湧き出る思いです。
- チームの役に立ちたい。
- 顧客の役に立ちたい。
- 会社の成長に貢献したい。
- 仲間を支えたい。
こうした他者へ向かうベクトルが「良質なモチベーション」の源泉となります。



私は、「成長」とは「貢献度が高まる進化」と定義していることもあって「貢献」という言葉を多用しています。
貢献欲の高い人材の特徴
「貢献欲の高い人材」には、共通する特徴があります。
- 期待されている役割を果たすための自己投資を怠らない
- 周囲との協力や支援を惜しまない
- トラブルが生じても、まず自責で振り返ることができる
彼らは「役に立つことの喜び」を知っているため、自分の業務だけでなく、チームメンバーへの支援や応援も惜しみません。
貢献欲の低い人材の特徴
反対に、「貢献欲が低い人材」はどうでしょうか。
- 「帰属意識」が低い
- 「チームワーク」に関心が低い
- 「会社の方針」や「目標・目的」への関心が低い
思考が「ジブンファースト」になりがちです。
たとえ高いスキルを持っていたとしても、ベクトルが自分に向いているため、周囲との相乗効果が生まれず、チームとしての成果貢献は限定的になります。
いわゆる「悪い意味での一匹オオカミ」です。
さらに注意が必要なのは、周囲に「マイナスの影響」を与えてしまうケースです。
本人の意図はどうあれ、マナー違反やルール違反、不機嫌な言動などで周りの空気を悪くしてしまうタイプです。
ここまでくると、能力の発揮どころか、チーム全体のパフォーマンスを下げる要因となり、組織として非常に扱いが難しくなります。
【5層構造】
メンバーも5レイヤー
実は、この「保有能力」と「貢献欲」の話は、本質的に「経営脳の5つのレイヤー」と同じ構造です。
経営脳の構造において「スキル」は第4レイヤーであり、ベースには第1レイヤーの「マインドセット」があります。
保有能力(スキル)がどれだけ高くても、その根底にある「マインドセット」、つまり考え方や価値観が不十分であると、保有能力は発揮されない、という構造です。


この3つだけでも「貢献したい」という裏付けとして充分でしょう。
【要点確認】
発揮能力=保有能力×貢献欲
さて、どうでしょう?
採用における「見極め力」の重要視点である「発揮能力」について整理しました。
- 保有能力:持っているスキル・知識・経験
- 発揮能力:保有能力をチームのために使うチカラ
- 発揮能力 = 保有能力 × 貢献欲
- 貢献欲がゼロなら、発揮能力もゼロ
- 貢献欲が高ければ、保有能力は後から伸びる
発揮能力は、中長期的なチームパフォーマンスに大きく影響するテーマです。
「採用ミス」をなくすため、丁寧に「発揮能力を見極めるチカラ」を高めましょう。
お役に立ちますように!
「何のためのチームか?」を見失わないように!
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「組織戦略」全記事リスト
3部:採用編
このWEBサイトでは、ひとりでも多くの経営者の方々のお役に立ちたいという思いを持って、なるべく深く、そして詳しく発信しているつもりなのですが、「ひと」に関することには「どうしても書けないこと=公表できないこと」があります。
特に、人事評価とか給与賞与に関するマネジメントには、その性質上「社員さんたちには知られない方がいいこと」があります。
お察しのとおり、このWEBサイトは経営者の方だけではなく、一般社員さんたちもアクセスし読むことができます。
すべて「理想論」や「タテマエ」で解決できればいいのですが、「人に関する実務」はそんなに甘いものではなく、時には「荒療治」しなければならないシーンがあります。この「荒療治」を文字で誤解なく伝えることはとても困難です。
また、カモフラージュした「事例紹介」であっても、当事者の方々にとっては「あ、この記事、当社のことやん」ってすぐにわかってしまいます。それは、その社員さんにとっても「あ、自分のことだ」とわかってしまいます。「いい話」の場合はいいのですが「よくない話」の場合は、気分を害したり、あらぬ誤解を生じさせたりするリスクがあります。
このような理由で「トラブル解決系」や「裏技的な方法」は、一般公開しているこのWEBサイトでは書けません。
「それが聞きたいのに・・・」と、物足りなさを感じられる方も少なくないと思いますが、何卒ご了承ください。


