「損益分岐点」はいくらですか?
最近、上がりましたか?下がりましたか?
先月は、クリアしましたか?
・・・・・
さて、いま「売上」をイメージしていましたか?
それとも「粗利」をイメージしていましたか?
違いますよね?
「限界利益」をイメージしていましたよね!
・・・・・
さて、この話に「違和感」や「疎外感?」を感じましたか?
もし、そうなら本稿は「かなり!お役に立てる」と思います。
先に結論を示しておきます。
「損益分岐点売上高」なんて役に立ちません!
必要なのは「損益分岐点限界利益」だからです!
この話を整理しました。

「な~んだ、そんな当たり前の話か!」と思われた方は、
時間がもったいないので、別の記事に移ってください!
「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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【損益分岐点】
黒字と赤字の境目の “売上高”
損益分岐点(BEP:Break-Even Point)は、文字通り「損益の分岐点」。
つまり「黒字」と「赤字」の境目のこと。
一般的に「損益分岐点売上高」を意味するので「損益トントンの売上高はいくらか?」という金額を指しています。
その計算式は、下記のようにややこしいものです。
損益分岐点売上高
=固定費÷{(販売価格−変動原価)÷販売価格}
こんなややこしい計算式になっている理由は「売上高」で計算するからです。
簡単な計算例を示します。
- 固定費:100万円
- 販売価格:100円
- 変動原価:80円
損益分岐点売上高
=100万円÷{(100円-80円)÷100円}=500万円
@100円の商品を500万円分=5万個販売すると、
原価が400万円なので、
100万円の粗利があって、
固定費をカバーできる、という計算ですね。
この計算式「目標利益」を加えると、さらにややこしくなります。
- 固定費:100万円
- 販売価格:100円
- 変動原価:80円
- 目標利益:50万円
目標利益のための売上高=(50万円+100万円)÷{(100円-80円)÷100円}=750万円
@100円の商品を750万円分=7万5千個販売すると、
原価が600万円なので、
150万円の粗利があって、
固定費100万円を差し引いて50万円儲かる、という計算です。
【欠点盲点】
損益分岐点をクリアしても赤字?
上記の「損益分岐点売上高」の計算例は
「500万円の売上高でトントン」という結果ですが、
500万円という目標売上のために
「1割引きの@90円でディスカウント販売」したらどうなりますか?
500万円をクリアしても赤字ですよね?
- @90円×55,556個=売上高5,000,040円
- @80円×55,556個=変動原価4,444,480円
粗利は、555,560円・・・固定費が100万円なので、約45万円の赤字です。
「損益分岐点売上高」を計算して目標設定しても「100円で販売したら」という計算の前提条件が崩れると、この損益分岐点売上高は、まったく意味のない「ナンセンスな数字」となってしまいます。
難しい話ではないですよね。
わざわざ、ややこしい計算式に当てはめて損益分岐点売上高を計算しても、それには「前提条件」があるので、それを忘れてしまうと「売上目標をクリアしても赤字」という笑えない結果になってしまいます。
こんなシンプルな話なのに、意外にも「損益分岐点を売上高でアタマに入れている経営者」が少なくありません。
さらには、この「損益分岐点売上高」をチームで共有している会社もあります。
このナンセンスさを「分かっていればいい」のですが、残念ながら「気付かんかった」「気にしたことがない」という人達によく出会います。
【視点転換】
損益分岐点は “限界利益” で
改めて「損益分岐点」とは何か?を考えてみましょう。
「損益トントンの売上高はいくらか?」と考えるからナンセンスになるのです。
もっとシンプルに「損益トントンの限界利益はいくらか?」と考えれば、この話はとても簡単です。
「売上高は手段」であり「目的は利益」。
損益分岐点も「売上高」じゃなく「限界利益」で理解すれば、とても簡単です。


損益分岐点限界利益=固定費
もはや「計算式」でもありません。
「固定費を超える限界利益を上げようね!」です。
上記の「目標利益50万円」の計算例であれば
- 固定費:100万円
- 販売価格:100円
- 変動原価:80円
- 目標利益:50万円
「固定費100万円+目標利益50万円=目標の限界利益は150万円」になります。
要は「固定費」に見合う「限界利益」が目標なのです。
【重要視点】
売上高は手段にすぎない
この話、結局、そのために「どれだけの売上高が必要か?」という話になりますが、これは「手段の話」なのです。
この「手段」に意識を取られていると「目標・目的」である「利益」への意識や気持ちが希薄になりがちです。
例えば、売上高から限界利益に変えるだけでメンバーの思考は変わります。
「売上目標750万円!」と掲げるのではなく、
「限界利益目標150万円!」と掲げることで
「売ればいいんだ!」という思考から「儲けなければ!」という思考に変わります。
売上高を上げるために「値引き販売・クーポンの追加付与・送料無料・キャンペーン打ちまくり」など、売上目標のための様々なアイデアが出てきますが、限界利益に変えたとたんに「値引きもクーポンもいいけれど、それなら販売量を増やさないといけない」というように、「利益」への意識が飛躍的に高まります。
さらに、私の経験では、「固定費=限界利益」というシンプルな計算式のおかげで「固定費」にも意識が向くというケースもよくあります。
【要点整理】
チームの限界利益意識を高める
さて、どうですか?
「損益分岐点」の基本的なことを整理しました。
- 損益分岐点は「黒字と赤字の境目」であること
- 損益分岐点をクリアしても赤字のケースがあること
- 損益分岐点売上高による目標設定はナンセンスであること
- 損益分岐点は「限界利益」と「固定費」の一致点であること
- 損益分岐点を限界利益ベースで把握し、チームで共有すること
業種によって様々ですが、変動原価(仕入れや外注費、送料やキックバックなど)が、販売に影響する業種業態の場合は、損益分岐点は「売上高」ではなく「限界利益」で把握し、そして、チームで共有することに注意しましょう。



もういちど、冒頭の問いかけ・・・
・「損益分岐点」はいくらですか?
・最近、上がりましたか?下がりましたか?
・先月は、クリアしましたか?
もう「限界利益」でイメージすることに
「違和感」も「疎外感」もありませんよね!


