経営者の本質志向:気になってしかたがないアタマのクセ

この記事に書いてあること
【経営脳】5つのレイヤー。第1レイヤーは、経営者の心構えや考え方をマネジメントする「マインドセット」。

中小企業が「もっといい会社」に成長するためには、経営脳を最適化し「もっといい経営者」に成長することが唯一の選択肢。

そのため、特に大切なのは、他のレイヤーに優先する「第1レイヤー:マインドセット」=「正しさを問い、考えるチカラ」を整えることです。

本稿では、この「マインドセット」が試されるテーマのひとつ、「本質志向」について詳しく紹介します。

要旨・結論は次の通りです。

忙しい人は、これだけでもインプットしてください。

本質志向」とは「常に、本質が気になるアタマのクセ
「本質が気にならないアタマ」は「ウワベ」に流されやすい
「ウワベ」は、本質からズレたことが多い
「ウワベ」に流されると「判断」「決断」「意思決定」がズレる
「意思決定」がズレると「シンドイ経営」になりがち
「本質志向」は、トレーニングで身に付けることができる
「本質志向」は「成功・失敗」から学ぶことで強くできる
「本質志向」があたりまえのチームになれば「最強」
「仕事の本質」「成長の本質」を問い、考えるチーム
「本質志向」のトレーニングは「シンドイ」
「シンドイトレーニング」と「シンドイ経営」の2択

ウワベに流されず、常に本質を問う経営者」を志向する方のお役に立てると思います。

「10人~100人規模の中小企業経営者」の方々に向けた「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを毎週発信しています。
初めてアクセスしていただいた方は、「このブログについて」をまずご覧ください。

【おさらい】
経営者のマインドセットとは?

本稿は「Layer1:経営者のマインドセット」を深掘りする8つの記事のひとつです。

先に「経営脳:5つのレイヤー」をおさらいしておきましょう。

経営脳:5つのレイヤー
【経営脳】5つのレイヤー。第1階層は、経営者の心構えや考え方をマネジメントする「マインドセット」。
  • Layer1:マインドセット
    全体をマネジメントするチカラ
  • Layer2:フィジカル
    カラダをマネジメントするチカラ
  • Layer3:メンタル
    ココロをマネジメントするチカラ
  • Layer4:スキル
    仕事をマネジメントするチカラ
  • Layer5:センス
    差別化するチカラ

「経営脳」は、経営者が「ジブンをマネジメントするチカラ」のことです。

「経営脳」を整えると「経営者のパフォーマンス」が良くなります。

「経営者のパフォーマンス」が良くなると、それにつれて会社も成長する、というロジック。

では「経営脳」を整えるためにどうすればいいか?

そのためのフレームワークが「5つのレイヤー」です。

ヒトとパソコンやスマートフォンはそっくり。

ヒトも「ハードウエア+ソフトウエア」に例えることができます。

これは、その「ヒトのソフトウエア」を5つに分けたものです。

最下層の「マインドセット」の役割は
経営脳全体をマネジメント」。

いわば、ハードウエアやアプリを制御する「OS(Operating System)」に相当するレイヤーです。

パソコンやスマートフォンが「OS」で制御されているように、ヒトも「マインドセット」によって制御されています。

つまり、「人は考え方次第」と言うことができます。

経営者の「ココロやカラダ」、「スキルやセンス」が正しく動くように制御する「マインドセット」。

本稿で紹介する「本質志向」は、この「マインドセット」を整えるための大切な視点のひとつ。

他の7つの視点(成長志向、使命感、倫理観、学習志向、素直、多様性、可能志向)と合わせて、経営者の「正しさを問い、考えるチカラ」を整えます。

経営脳の5つのレイヤーは、下記の記事で詳しく解説しています。

経営脳はフレームワークで最適化できる|5つのレイヤー

まだの方は先に一読していただくと理解が深まります。


●主な内容
・経営者と会社の成長は表裏一体
・経営課題の本質は「経営者の成長課題」

・レイヤーごとに課題を整理して自主トレ
・レイヤーの前提は「自責」で取り組むこと
・レイヤーの効果は「自己効力感」が高まる

【重要定義】
本質志向は「アタマのクセ」

本質志向」は「経営脳:Layer1:マインドセット」を整える8つの視点の中でも、他のレイヤーの土台となる特に大切な視点です。

まず「本質とは何か?」の解像度を上げましょう。

本質が気になるアタマのクセ

「経営者のマインドセット」は
「正しさを問い、考えるチカラ」

この「正しさを問う」にあたって、
「本質」がわからないと、「何が正しいか」がわかりません。

また、「本質」からズレると、「違うもの」を正しいと勘違いしてしまいます。

その土台となる「本質志向」とは?

うっかり見過ごしそうですが、「思考」でなく「志向」です。

つまり「心が向く」こと。

よって「本質志向」とは、文字通り「本質に心が向く」という意味。

うわべに流さることなく「本質はなんだ?」と気になってしまう「アタマのクセ」のことです。

そもそも「本質」とは?

そこで「本質」とは?、辞書を引くと・・・

  • 根本的な性質・要素
  • そのものの本来の姿
  • 基底・本性をなすもの

イマイチよく分かりません。

本稿の目的は「経営脳を最適化すること」であり、学術的な解釈ではありません。

だから、私は次のように解釈しています。

  • 思考の素数
    これ以上割れない原因や理由
  • 思考の終点
    これ以上の原因や理由が見当たらない
  • 汎用的な解
    多くのことに共通する理由や原因

たとえば「関わる人たちの持続的な幸せの実現」という経営の目的。

  • 思考の素数
    これ以上シンプルにできない
  • 思考の終点
    これ以上の目的が見つからない
  • 汎用的な解
    利益も、継続も、存在意義も、全部「幸せ」で説明できる

だから「これは本質だろう」ということができます。

(参考記事)
【幸せの定義】会社経営の目的は幸せというけど、「幸せ」ってなんだ?

本質に近いと賛成が増える

たとえば、「会社は拡大すべきか?」という問い。

  • 「もっと儲けるために」
  • 「もっとシェアを獲得するために」
  • 「それが常識だから」

よくあるこれらの答えには、たいてい反論があります。

でも・・・

  • 「幸せな人を増やせるなら拡大はアリ」
  • 「不幸な人が出るなら拡大はナシ」

この「関わる人たちの幸せ基準」で考えると、反論が少なくなり、賛成が増えます。

それは「より本質に近いから」でしょう。

さて、少し「本質の正体」が見えてきましたか?

【放置警鐘】
本質志向が弱いと「シンドイ」

「本質志向」が弱いと何が起きるか?

つまり、本質が気にならない

そのリスク・デメリットは、成功や失敗から学ぶことができないこと。

  • 「なぜ成功したか?運が良かっただけよ」
  • 「なぜ失敗したか?運が悪かっただけよ」

本質が気にならない人は、理由や原因を探ろうとしません。

これでは、どんな経験も「学び」に変わりません。

  • 成功から学ばなければ、再現性が高まりません。
  • 失敗から学ばなければ、再発性が高まります。

だから、

「イイコト」が再現できず、
「ワルイコト」は再発する。

「シンドイ経営」の一因です。

【解決方針】
本質志向を「あたりまえ」に

「経営脳」の最下層「マインドセット」の中心的な志向。

あえて言うなら
本質志向は、OSを制御するコアOS」。

さて「本質志向」についての理解は進みましたか?

「じゃあ、どうすればいい?」

「ジブン」と「チーム」に分けて考えます。

  1. まず「経営者としての本質志向」を強くする。
  2. 次に「チームとしての本質志向」を強くする。

1)まず、ジブンの本質志向

「本質志向」は
本質が気になるアタマのクセ」です。

  • 「本質が気にならない」
  • 「時々、気になる」

これを「いつも気になるクセ」に変えていく

習慣化のフレームワークで進めましょう。

「本質志向が大切なこと」は

  • Step1:理解できましたか?
  • Step2:納得できましたか?
  • Step3:行動しましょう!

「本質志向」を納得し「強くしたいという欲」があれば「意識」ができます。

日常から意識的に

  • 「本質は、なんだろうか?」
  • 「これは、本質だろうか?」
  • 「上滑りしてないだろうか?」

と問うてみましょう。

最初は、ついつい忘れてしまうと思いますが、そこが「運命の分かれ道」。

三日坊主で終わるか?
クセにできるか?

頑張って地道にコツコツ問い続けましょう。

そうすれば、気付いたときには「意識しなくても気になるクセ=習慣」になっています。

(参考記事)
本質志向を習慣化するために、下記の記事も併せて読んでみてください。
フレームワーク|経営者の「勝ちグセ」を高める習慣化ステップ

2)次に、チームの本質志向

ゴールイメージは
「本質志向を、チームのあたりまえにする」

そのステップも「習慣化のフレームワーク」。

  • Step1:理解ステップ
    チームの全員に「本質志向とは?」を伝える。
  • Step2:納得ステップ
    チームの全員に「なぜ本質志向が大切なのか?」を伝える。
  • Step3:行動ステップ
    チームの全員と「本質は何か?」のディスカッション機会を増やす。
  • Step4:習慣ステップ
    やがて「本質を確かめるのが、あたりまえ」というカルチャー。

このステップを積み重ねた「本質志向が強いチーム」は、

  • 「上滑りしないチーム」
  • 「成功から学ぶチーム」
  • 「失敗から学ぶチーム」

ある意味「最強のチーム」です。

「本質志向」だから「仕事の本質」も「成長の本質」もよくわかっている。

  • 「関わる人たちの持続的な幸せのためにがんばろう!」
  • 「役に立つ存在として、もっと進化しよう!」

それが「あたりまえ」になっている。

これは「理想的」ですが「理想論」ではありません。

この理想=ゴールを「現実」にしましょう!

(参考記事)
「仕事の本質」と「成長の本質」は「経営の原理原則」を再確認してみてください。
【経営の原理原則】正しい成長のための筋道と道理

【課題解決】
「ワルイクセ」→「イイクセ」

ゼロ線思考法:課題を「リカバリー課題」と「アドバンテージ課題」の2軸で解決するフレームワーク。

具体的な課題解決を考えましょう。

その方法は「ゼロ線思考法」。

リカバリー課題」と「アドバンテージ課題」の二軸に分けて取り組む方法です。

この「本質志向」に当てはめると、次のようになります。

  • リカバリー課題
    「本質が気にならず、上滑りが多い」といった「ワルイクセ=マイナス」を解消する課題解決
  • アドバンテージ課題
    「より核心に迫る」という「イイクセ=プラス」を積み重ねていく課題解決

1)リカバリー:「ワルイクセ」を直す

まず「リカバリー課題」の解決からです。

「気にならないクセ」を
「いつも気になるクセ」に変えるために
「成功・失敗」の場面で、必ず問いましょう。

「なぜ、うまく行ったのか?」
「なぜ、うまく行かなかったのか?」

「なぜ、受注できたのだろう?」
「なぜ、彼は辞めたのだろう?」

「どうすれば、再現できるだろう?」
「どうすれば、再発を防げるだろう?」

「根本的な原因や理由」を問うことを積み重ねれば、必ず「ワルイクセ」は治ります。

「習慣化のフレームワーク」にしたがってマイナスを埋めて「ゼロ線」を超える。

この段階は「気になるレベル」になればクリアです。

「本質の正しさ=これ、本当に本質だろうか?」は気にしなくてもいいです。

本質の正しさを問うのは、次の「アドバンテージ課題」。

それは、リカバリー課題が解決できてからです。

リカバリー課題とアドバンテージ課題に分けて考える「ゼロ線思考法」の詳細は、上記記事で解説しています。

  • 努力をムダにしないゼロ線思考
  • リカバリー課題とアドバンテージ課題に分けて整理すること
  • 努力しているのに成果に結びつかない原因
  • 中小企業でよくある放置され気味なリカバリー課題
  • 急がば回れ!焦ると成果は遠ざかること

2)アドバンテージ:「もっとイイクセ」に

「リカバリー課題」が解決できれば、「アドバンテージ課題」に取り組みましょう。

ちょうど「ゼロ線」を超えたあたりでは
「本質が気になるけど、本質はなんだろう?」
と、モヤモヤしている状態だと思います。

でも「モヤモヤしてる」のは「成果」です。

本質が気になり始めたから、モヤモヤしてる」。

「リカバリー課題」を解決する前は「気にならなかったので、モヤモヤすることもなかった」のですから。

さて「アドバンテージ課題」の解決。

この「モヤモヤ」を晴らすトレーニングです。

いわば、「もっとイイクセ」にしていくこと。

それには、伝統的なフレームワークである「なぜなぜ」が有効です。

「モヤモヤ」したら「なぜなぜ」

「なぜなぜ」を繰り返す「クセ」。

どこまで繰り返すか?

「本質にたどり着くまで」です。

一般的に「なぜなぜ」を3回繰り返そうと言いますが、回数ではありません。

1回の「なぜ」でたどり着けばそれでよし。

10回の「なぜ」でもたどり着けなければ「11回目のなぜ」です。

では「本質にたどり着いた!」と、何で判断するか?

前述した「本質とは?」に照らし合わせましょう。

  • 思考の素数
    これ以上割れない原因や理由
  • 思考の終点
    これ以上の原因や理由が見当たらない
  • 汎用的な解
    多くのことに共通する理由や原因

例示も再掲します。

「関わる人たちの持続的な幸せの実現」という経営の目的。

  • 思考の素数
    これ以上シンプルにできない
  • 思考の終点
    これ以上の目的が見つからない
  • 汎用的な解
    利益も、継続も、存在意義も、全部「幸せ」で説明できる

だから、これは本質だろう。

本質に迫ること、慣れない間は「シンドイ」と思います。

まるで「禅問答」の境地かもしれません。

しかし
「本質にたどり着くジブン」でなくても、
「本質にたどり着こうとするジブン」になるだけで、かなりの進化です。

常に「なぜなぜ」で「本質」にたどり着こうとする「イイクセ」が身に付くと
「すべらない判断」
「すべらない決断」
「すべらない意思決定」が増えてきます。

当然、「シンドイ経営」が、どんどん「ラクチン経営」に近づいていきます。

「シンドイ努力」は、ムダになりません。

頑張りましょう!

(参考記事)
なぜなぜ分析は、この記事で詳しく解説してます。併せて参考にしてみてください。
盲点弱点|なぜなぜ分析「実務原因」の奥にある「経営者原因」

【要点整理】
焦らず「もっとイイクセ」に

さて、どうですか?

本質志向」、
常に本質は何か?を問い、考えるクセ」。

「経営脳:Layer1:マインドセット」を整える8つの視点の中でも他のレイヤーの土台となる特に大切な視点です。

「正しさを問い、考えるチカラ」の原動力といっても過言ではないでしょう。

ただ、「本質に迫ること」は、慣れない間は「シンドイ」です。

トレーニング中は「ここまで考える必要があるかな?」という思いが過ることもあるでしょう。

「メンドウ」と避けたくなるかもしれません。

また、「本質」を語ると「正論は分かるけど」と反応され、「ウワベ」に引き戻されそうになること。

「正論」「理想論」「タテマエ」の区別がつかず不安に苛まれることもあります。

ますます「経営者って孤独やなあ」とメンタルにダメージを受けるかもしれません。

それくらい「本質」って「シンドイ」です。

「シンドイ」から「本質」とも言えるでしょう。

ず~っと「モヤモヤ」が続き、「ウワベの方が気楽でいいや!」と戻るかもしれません。

しかし、です。

「ウワベ」に戻るのは「ラクチン」ですが、経営は「シンドイまま」です。

どちらを選択しますか?

何事も「シンドイ」と「ラクチン」の間には「コツコツ」があります。

焦る必要はありません。

だんだん、じわじわ「これ、本質やな」って気付くことが多くなりますから。

「本質志向:本質が気になるイイクセ」は「一生ものの財産」になります。

もちろん、ご褒美は「最高の経営者人生」です。

もし、サポートが必要であれば、いつでも気軽に連絡ください!

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以上、お役に立ちますように!

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