中小企業の管理会計|有意義な経営会議の進め方、6つの視点

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この記事は、更新時の情報と筆者の考えに基づくものです。


この記事は「中小企業向け|マネジメント会計(管理会計)の設計と運用の概要」の補足です。

本稿では、中小企業における「有意義な経営会議」について整理します。

このブログでもあちこちに書いていますが「マネジメント会計(=管理会計)は活用してナンボ!」です。

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有意義な会議とは?

企業規模に関わらず、また、時代が変わっても「ムダな会議」という定番フレーズは「健在」ですね。

目的が不明確、議題が曖昧、脱線しまくり、結論が出ない、参加者が多すぎる、発言しづらい空気、時間にルーズ、準備不足、フォローアップがない、決定事項の進捗管理がない、議長(社長)の独演会、そもそも会議が多すぎる・・・などなど、その理由や原因も多岐にわたっていますが、なぜ「ムダな会議」が今も「健在」で無くならないのでしょうね?

本稿の主題である「マネジメント会計=管理会計を活用した経営会議」の話の前に、まずは「有意義な会議とは?」について言語化しておきます。

ちなみに、私のゴールイメージ(=有意義な会議の定義)は「参加者が、参加して良かった!」と思える会議です。

一人でも「時間のムダだった」と思うような会議は、何らかの改善余地があります。

少々厳しいことを言うようですが、私は長年の経験から「経営者の会議スキル不足」に尽きる、と思っています。

「参加して良かった」と思うためには、少なくとも「時間のムダ」と思わないようにするためには、上記の「ダメ会議」の裏返しをすればいいのです。下記のような点について「できてる?できてない?」をチェックしてみてください。

  • 会議の目的を明確にする=議題が明瞭(=脱線しない)
  • 開催日と時間帯を年間スケジュールでFIXしておく
  • 事前に会議資料を配布し、参加者に準備を促す
  • 結論や課題解決のための建設的ディスカッションを行う
  • ディスカッションのための心理的安全性が保たれている
  • 決定事項のモニタリング共有を行う
  • 会議が成長機会の場となっている

(関連記事)中小企業の人材育成|人は会議で育てる

有意義な経営会議、6つの重要視点

上記の「有意義な会議」を踏まえて「有意義な経営会議」を整理すると、次のようになります。

会議の目的「経営状態を共有する」

経営会議の目的はシンプルです。

経営状態を共有する」です。

経営者と、各部門のリーダーが「今、会社は、どのような状態にあるか?」について毎月共有し、共通認識するために開催するのが「経営会議」です。

「良い時」も「悪い時」も、「なぜ、良いのか?」「なぜ、悪いのか?」について、共通認識するために、情報交換・意見交換をすることが「集う目的」です。

事前に会議資料を配布しておく

「有意義な会議」のために「予習」は欠かせません。事前に会議資料を配布しておき、その予習や準備のための時間を充分に確保しておくことが必要です。

経営会議における「メイン資料」は「マネジメント会計(=管理会計)」による「月次レポート」です。

会社の事情によって、このレポートの内容は様々ですが、共通しているのは「損益計算書:前期比・予算比」です。業種や規模によって「部門別・地域別・商品別・個人別」などのバリエーションがありますが、それぞれが「経営状態」の「正しい共有」のために工夫しています。

このレポートを事前に配布しておき、担当部門の数字を精査し、その原因や理由を整理してから会議に臨みます。

会議の場で配布し、「いま、初めて見ました」という参加者で開催する会議に比べて、その差は言うまでもありません。

数字の理由や原因を共有する

各参加者に「先月の状況を報告してください」と促すと、「売上は**でした。前期比**%でした。これは予算比**%です」と報告する人がいます。

「それ、レポートを見たらわかるやん!」「レポートの音読?」

これでは意味がありませんよね。

ここで共有し、共通認識しなければならないのは「なぜ?」の部分です。

「前期や予算に比べて、なぜ**%増減なのか?その理由は?その原因は?」という「数字の裏側情報」を報告しなければなりません。

その報告を聞いて、他の参加者は「その理由はおかしくないか?」「ホントに、それが原因?」と「ツッコミ」を入れることで、共通認識の質が高まり「会議をした値打ち」がでることになります。

もちろん「批判や攻撃」はナンセンスであり、参加者が持っておくべきは「理解を深めるための相互支援」という重要な視点です。

この姿勢が、参加者の心理的安全性を高め、「勉強になったな」「その視点は無かったな」「客観的な視点って大切やな」など、「参加して良かった」と、会議を成長機会として捉えることができます。

間違っても「会議でやり玉に挙げられるので憂鬱」と思われるような会議になってはいけません。

前回以前の決定事項のモニタリング共有

経営会議に限らずですが、会議での決定事項は「To-Doリスト」でもあります。

実行が伴わない決定事項はあり得ません。

前回以前に「みんなで決めたTo-Do」は、その後どうなったか?について継続的に共有する必要があります。

会議の中で「前回決定事項の進捗状況」「継続審議事項のその後」などについてディスカッションする時間を忘れないようにしましょう。

「予算クリアできなかった」「***すれば改善するのでは?」とディスカッションした内容について、「決めた通り***すれば改善した」「***したのに変わらなかった」など、その後の経過を共有します。

予算対比の重要視点

マネジメント会計(=管理会計)のレポートについてディスカッションするときに忘れがちな重要視点を追加しておきます。

それは「予算クリアしたとき」の話です。

「予算をクリアできなかったとき」のディスカッションは活発になりがちですが、それに対して「クリアしたからOK!」で終わってしまうことが少なくありません。

前述したように「良い時」も「悪い時」も、その理由や原因について共通認識することが大切です。

「良い時=予算をクリアしたとき」も、クリアできた理由や原因があるはずです。この「成功体験」も重要な内容です。

さらに付け加えると「もっと行ったんじゃない?」というディスカッションが効果的です。

「予算比120%でした!(パチパチ~おめでとう!)」ではなく「だったら140%も目指せたのでは?」「120%で止めてない?」など「ツッコミどころ」はあるはずです。

予算をクリアできなかったときと同じように、クリアできたときも「深めるディスカッション」をするようにしましょう。

(関連記事)中小企業が成長するために「予算管理」が絶対必要な理由

経理担当者は必ず参加

私が、クライアントの経営会議に参加すると「あれ?経理担当の方は?」と思うことが少なくありません。

営業系、生産系、開発系のリーダークラスは揃っているのに、経理担当者が参加していないのです。

「レポートの作成責任者」であるはずです。

会議資料である「マネジメント会計(=管理会計)」のレポートをアウトプットしている経理担当者は、経営会議に参加することで「どんな会議をしているのか?」を体験することになり、それが「レポートの改善余地」に気付くきっかけになります。

また、それが「仕事のやりがい」にも通じます。

「会社の計数管理レベル」と「経理担当者のモチベーション」を高めるために、必ず経理担当者も参加してもらいましょう。

(関連記事)攻めのバックオフィス:「経理」から「会計」へのシフトチェンジ

補足:ひとりでも開催する経営会議

私が「経営会議を毎月やること!」とアドバイスしても、まだ小さいステージの会社では「会議っていっても、まだ小さくて他にメンバーがいないよ」と返ってくることがありますが、私のアドバイスは「ひとりでも開催しよう!」です。

経営者ひとりだから「振り返りは不要」ではありません。

むしろ、自分を向き合う絶好の機会なので、マネジメント会計(=管理会計)のレポートを熟読し、前述したように「良い時」も「悪い時」も、その原因や理由を言語化しましょう。

このときの注意点は「定例化」です。

スケジュールに「毎月5日午前中:ひとり経営会議」と登録してしまいましょう。

「レポートをもらったらチェックする」ではなく「チェックするために4日までにレポートを手に入れる」です。

まとめ

さて、いかがでしょうか?「マネジメント会計(=管理会計)の有効活用」のひとつとして「経営会議」について整理しました。有意義な経営会議にするための重要ポイントは下記の6つです。

関連記事も含め参考にしてみてください。

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