~人生の先輩から、若い経営者へ~
「決算書は人生のアルバムになるから、大切にしようね」というエピソードを書き留めておきます。
良かったこと、悪かったこと、楽しかったこと、苦しかったこと・・・
様々な思いを持って日々を過ごす経営者にとって毎期の「決算書」は、良くも悪くもひとつの成果。
数字の裏側には、他人には見えない、分からない「様々な思い出」が詰まっています。
若い頃は「税務署や銀行に提出する書類のひとつ」に過ぎないと思いますが、年齢を重ねると「違った見え方」がするものです。

みなさんの「決算書」に対する考え方が変わればいいな、と思って書きます。
「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい会社」に成長するヒントを日々更新しています。
40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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【目から鱗】
決算書は人生の記録だよ
20年ほど前の出来事です。
ある「元経営者」の方からいただいたお言葉。
私は、税理士修業時代「まだ若手の担当者」として、この方に数年間にわたって大変お世話になりました。
もう引退されて何年か経ったある日、「相続税で相談したい」とご連絡をいただき、当時私が経営していた税理士事務所までお越しいただき、数年ぶりに再会しました。
お世話になっていた時代のいろんな思い出話で盛り上がってるとき、ふと・・・



堀井さんが作ってくれた決算書はね、
今、見直すとね、私の大切な人生の記録だよ、ありがとう。
・・・と言われました。
私は「ハッと」しました。
「決算書って人生の記録なんや!」
決算書に対する私の視点がガラリと変わった瞬間でした。
まさに「目から鱗」です。
税理士である私は、それまでも数十社、数百社の決算書を「日常業務」として見てきましたが、経営者の方にとっては「1年に1冊だけの決算書」なんですよね。
それ以来、決算書を見ると「1年間、お疲れ様でした!」という気持ちが自然に湧いてくるようになり、それ以来、当社では決算書を納品させていただくときに「お疲れ様でした」とメッセージを添えるようになりました。
「税務署に所得申告をするため」という視点とは全く違って「お客さんの人生を記録するため」という視点に気付かせてもらったことは、とても貴重で、今、こうして思い返しても「すごい転機やったな」と思います。
【人生記録】
決算書を見ると思い出す
その元経営者は、続けて「決算書を見てると、当時のいろんなことを思い出すよ」と話を続けてくれました。
- 売上目標を達成してとてもうれしかったこと
- 資金繰りが苦しくて苦労したこと
- 海外進出するために視察に行ったときのこと
- 思い切って本社と工場を建て替えたこと
決算書には「当事者だからこそ見える思い出」がいっぱい詰まってたんですね。
私は、2022年3月に税理士を引退し、後輩税理士に事業承継したのですが、明け渡しに際して荷物整理をしていると、その中に「自分の開業1年目の確定申告書」もありました。
「平成11年分の確定申告書」です。
今度は「当事者」として「あ、ボクの人生の記録や!」と、このエピソードを思い出したのです。
【正直決算】
まじめに経営していてよかった
さらに、その方は、しみじみ「まじめに経営しておいて良かったよ」とおっしゃいました。
私が「???」という顔をしてると・・・



いやね・・・
もし、あのとき粉飾や脱税をしていたら、
それも記録として残ってたはずでしょ。
ごまかすことなく正直な決算をしておいてよかったと思うよ
微笑みながらお話ししてくださいました。
「御意!」です。
会社が順調かつ健全な成長をされていた「本当の理由」がわかったような気がしました。
経営者のこの姿勢が健全な成長のために本質的に必要なことなんだ、と今になって本当に強く思います。
「まじめな経営」をして
「正直な決算書」を
「人生の記録」として積み重ねていく。
それが、実は難しいことであることを分かってるからこそ、この元経営者から学ぶことはとても大きいことでした。
そして、年齢を重ねるごとに「その大きさ」が、まだまだ大きくなっていることを感じています。
【要点整理】
まじめに経営した姿を残す
今回は、「決算書」を違う視点で見てみました。
「決算書は経営者の人生の記録」というエピソード。
まだ若い経営者の方々には、いまひとつ響かない話かもしれません。
でも、経営者ならいつか「じわじわ」と感じてくれるエピソードだと思います。
まじめに経営した姿を積み重ね、それを残すことはとても大切だと思います。
粉飾決算や脱税など「ごまかした経営」をすれば、それも「そのまま」記録として残ります。
年齢を重ねた時・・・
「見たくない書類」になるか、
「まじめに経営したことを満足感を持って見れる書類」になるかは、「今」が大切です。
たかが決算書、されど決算書です。
ぜひ「いい思い出」を積み重ねていってくださいね!



