管理会計の損益計算書。
理想形は「黄金比率=7:1:1:1」
比べれば見える!見える!
もっと儲かるヒント!
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40年近く税理士として中小企業経営を支援し、経営計画や管理会計、組織作りを専門とするマネジメントコーチ・堀井弘三が、その現場で得た豊富な経験と知識に基づき執筆しています。
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「損益計算書」
経営者なら、みんな知ってる「PL」。
でも、意外と知らない「理想形」。
業績の良い会社の「損益計算書のカタチ」。
「利益が出ているから良い」
ってもんではありません。
「なぜ、利益が出ているのか?」です。
その「なぜ」が見える
管理会計の「MA損益計算書」。
その「理想形」があります。
「理想形」が分かれば
「現状」と比較でき
「課題」が見えます。
今回は、
収益性改善に取り組む際に効果的な
「損益計算書の黄金比率」
について、詳しく紹介します。
【おさらい】
管理会計のPL:MA損益計算書
「一般的な損益計算書」では、収益構造を正しく把握することが困難です。
なので、それを管理会計の進化型PLである「MA損益計算書」に変換するところから始めます。
この記事は「MA損益計算書」の活用編です。
まだ「MA損益計算書」をご存知でない方は、先に下記の記事をどうぞ。


今回の「黄金比率」は、この「MA損益計算書」の「理想形」の話です。
【黄金比率】
ナイスバディ!な損益計算書
「MA損益計算書」の構造が分かれば、次はその活用法、つまり「もっと儲けるための視点」を紹介します。
業績の良い会社の「収益構造」はキレイです。
名付けて「高収益企業の黄金比率」。
自社の「MA損益計算書の比率」を
この「黄金比率」と比較すれば
「どこのバランスを崩しているか?」
が一目瞭然です。
課題=黄金比率-現状比率
そこを改善すれば「もっとキレイ」になれます。
さて、あなたの会社は「ナイスバディか?」。
7:1:1:1
先に結論。
高収益企業の黄金比率は
「7:1:1:1」です。
先に、イメージ図をみてください。

「%」のイメージと合わせる方が理解しやすいので、
ここからは「70:10:10:10」で説明しますね!


「黄金比率」の計算は
「限界利益」が基準です。
「売上高」ではありません。



「利益が目的」
「売上は手段」
- 限界利益を100%として
- 事業コストは70%以内で、
- 経営コストは10%以内で収めると
- 税引前当期純利益は20%が残ります。
大雑把に「半分は税金」とすれば、
「法人税等は10%」となるので、
「税引後純利益は10%残る」という比率です。
つまり、限界利益100が…
- 70:事業コスト
- 10:経営コスト
- 10:法人税等
- 10:税引後純利益
…の比率に分かれると
「キレイ」というわけです。



税理士時代、
この比率に気付いてから、
延べ数百社の「黄金比率」を測りまくりましたが、
9割の会社に当てはまります。
創造付加価値の理想は
30%以上
「限界利益」から
「事業コスト」を控除して計算する
「創造付加価値」は、限界利益の30%以上が理想です。
40年近く税理士として、のべ数百社の損益計算書を見てきた私の経験則ではありますが、
黒字企業の大半は「創造付加価値は30%以上」です。
この比率を言い換えれば
「事業コストは、限界利益の70%以内に収める」ということでもあります。
例えば、100万円の限界利益を獲得するために、事業コスト(人的コスト、設備コストなど)が70万円以上必要なら、その事業は「儲けにくい構造」ということになります。
事業利益の理想は
20%以上
「事業利益」は、
「創造付加価値」から
「経営コスト」を控除して計算する利益です。
限界利益の20%以上が理想です。
「事業利益」の必達ラインを20%を設定したとき、下記のようなバリエーションが考えられます。
| 標準 | 高収益 | 低収益 | |
|---|---|---|---|
| 限界利益 | 100 | 100 | 100 |
| 創造付加価値 | 30 | 40 | 20 |
| 経営コスト | 10 | 20 | 0 |
| 事業利益 | 20 | 20 | 20 |
上記の「黄金比率」は「標準形」です。
創造付加価値が30%であれば、経営コストの上限は10%ということになります。
しかし、標準以上の創造付加価値を稼得していて、仮に40%であれば、経営コストの上限は20%ということになります。
逆に、十分な創造付加価値が稼得できず、20%だとすれば、経営コストの「取り分」はなくなってしまいます。
経営コストの大半は「役員報酬」ですが、この比率を応用すると「必達限界利益は、必要とする役員報酬の10倍」ともいえます。
例えば、年間1000万円の役員報酬が必要であれば、限界利益の必達は1億円、限界利益率を20%とすると、必達売上目標は5億円ということになります。
| 売上高 | 5億円 |
| 限界利益 | 1億円 |
| 創造付加価値(30%) | 3,000万円 |
| 経営コスト(10%) | 1,000万円 |
| 事業利益(20%) | 2,000万円 |
【参考三例】
ナイス!じゃない損益計算書
このバランスを崩している典型例を示すと、次のようになります。
さて、あなたの会社に近い「バディライン」はありますか?
「良い・悪い」ではなく、「バランスを崩している理由」を探ることが大切です。
「解決すべき課題」なのかどうか?の判断をするための「分析・推察」です。
高コスト型
| 売上高 | 500 |
| 限界利益 | 100 |
| 事業コスト | 90 |
| 経営コスト | 10 |
| 法人税等 | 0 |
| 税引後純利益 | 0 |
事業コストが90%に達しており「商売の利益」を示す「創造付加価値」は残り10%。
その10%を、全額「経営コスト」で消費しているので、会社に利益が残っていない状態です。
後述する「すでに内部留保がたっぷりある状態」に達していれば、これも「アリ」ですが、そうでなければ「万が一の備え」ができません。
経営者ファースト型
| 売上高 | 500 |
| 限界利益 | 100 |
| 事業コスト | 70 |
| 経営コスト | 30 |
| 法人税等 | 0 |
| 税引後純利益 | 0 |
事業コストは、ちょうど70%以内で収まっており、「創造付加価値」は理想通りの30%を得ています。
しかし、この「商売の利益」の全額を「経営コスト」で消費してしまっているので、会社の利益はゼロです。
「経営者ファーストじゃないの?」との印象を受けますが、ひょっとすると「利益の再投資をしたのであって、経営者が取り込んだわけじゃないよ」ということかもしれません。
経営者犠牲型
| 売上高 | 500 |
| 限界利益 | 100 |
| 事業コスト | 80 |
| 経営コスト | 0 |
| 法人税等 | 10 |
| 税引後純利益 | 10 |
事業コストが80%であり、「創造付加価値」は20%であり、少な目です。
よく見ると「経営コスト」はゼロであり、経営者は「無給」であることがわかります。
よって、事業利益も目安の20%を計上し、納税もしていますが、見てると苦しくなりそうです…が…
「もうお金はいらんねん!」っていう経営者かもしれませんね。
以上、3つのケースを例示しましたが、このような「分析・推察」できるのは「見えるPL」だからです。
*参考までに、この3つのケースを「一般のPL」で表すと次のようになります。「見えない」でしょ?
| 高コスト型 | 経営者 ファースト型 | 経営者 犠牲型 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 500 | 500 | 500 |
| 販管費 | 100 | 100 | 80 |
| 税引前純利益 | 0 | 0 | 20 |
| 法人税等 | 0 | 0 | 10 |
| 税引後純利益 | 0 | 0 | 10 |
【積小為大】
塵を積もらせ山とする



「積小為大」、せきしょういだい。
二宮金次郎が残した、
「小を積めば、則ち大と為る」という言葉。
小さな努力や工夫を積み重ねることが、やがて大きな成果や大成につながるという教え。
「黄金比率」を維持できれば
「毎期、限界利益の10%を内部留保できる」
ことになります。
もし、10年間続ければ
「限界利益1年分相当の内部留保が蓄積」できます。
もし、頑張って16年間続ければ
事業コスト70+経営コスト10=80、
つまり「固定コスト80の2年分相当」が蓄積できます。



別記事の貸借対照表の解説では
「固定費の2年分」が必要と紹介しています。
黄金比率なら「16年で到達」です。
さて、長い?短い?途方もない?





10年って、そんなにのんびりしていて大丈夫って?
見るとこ、そこじゃないでしょ!
「10年」ではなく
「限界利益の1年分」
「固定コスト2年分」
できるなら、半年、1年で貯めればいいやん!
限界利益の1年分の内部留保があれば、
とりあえず安全です。
さらに上、固定費の2年分まで蓄積すれば、
かなり安全です。
多少のことではビクともしないでしょう。
仮に「1年間、売上ゼロ!」って、かつてのコロナ禍のようなことが起きても、誰も解雇することなく、給料も払い続けることができます。
もちろん、それは「BSを強くする」ことでもあり、金融機関の評価も益々高くなるでしょう。
- 内部留保があるとき
普段通りの生活をしながら「落ち着いて戦略を見直せる」 - 内部留保がないとき
当面の資金繰りに奔走し「落ち着いて考える時間がない」
これ以上、クドイ説明は必要ありませんね。
【要点整理】
やたら会計に強くなれる!
さて、どうですか?
「MA損益計算書」の「黄金比率」を紹介しました。
この「黄金比率」を持っておけば「損益計算書」の見え方がガラッと変わるはずです。
私は、この比率を発見してから「クセ」になっています。
「損益計算書」を見ると反射的に…
- 創造付加価値は30%超えてるかな?
- 事業利益は20%超えてるかな?
- 内部留保が溜まるまで、あと何年かな?
…ってついつい計算してしまいます。
「売上は?」「利益は?」と、見ますが「それは、終わった話」って感覚です。
「収益体質・収益構造」は、「これからの話」です。
「この体質・構造」なら、「いずれ、こうなるな」って予想ができるからです。
この見方が「やたら会計に強い経営者」の視点です。
あと、最後にもう一つだけ付け加えておきます。
私は、もうひとつ「1%のインパクト」も気になります。
例えば「年商10億円」なら「1%=1000万円」です。
限界利益率を3ポイント改善すれば、
たちまち、経常利益は3000万円アップするやん!
ご参考まで!
お役に立ちますように!




