会社の将来のための投資。
大きなリターンを期待してする投資。
ハラをくくって攻めるぞ~!
「投資」してますか?
「投資」と言っても、金融商品や不動産の話ではありません。
「会社の将来のための先行支出」です。
私は、クチグセのように「内部留保を貯めよう!」と言うので、「誤解」されることがあります。

そんな「守りの経営」ではダメだ!



「守りの経営」なんて、一言も言ってない!
「内部留保しよう」が
「使わずに貯めよう」に聞こえてるんですね。
ここは
「誤解してる!」と他責にするのではなく
「伝え方が悪い」と自責で反省して
「管理会計の視点で投資の話」を整理します。
「将来のための投資」を
「攻める視点」と「守る視点」で。
【定義確認】
「成功」のための「先行支出」
あらためて「投資とは?」。
「成功のための先行支出」のこと。
「投資判断」には「やらない」も含まれます。
「投資」をしなくても
「成功」できるなら、必要ありません。
でも
「成功」のために必要なら「投資する」。
「投資とは?」、言い換えれば、
「成功のために、意図して仕掛ける」ことです。
「成功=ありたい状態」のための先行支出が「投資」です。
【残念事例】
中小企業における投資の現状
まず、40年近く中小企業の現場を見てきて、よく目にする「気になる投資」を3つピックアップします。
投資額を把握していない



将来投資はしてないの?



ちゃんと投資してるよ!



どれくらい?
PLに出てないよ。
たしかに「投資してる」のでしょう。
でも「どれだけ投資しているか?」を把握してない。
投資コストが、他のコストに紛れていて分からない、という状態です。
PLを見ると、こんな感じです。
損益計算書
| 売上高 | 5,000 |
| 売上総利益 | 2,000 |
| 販管費 | 3,000 |
| 営業利益 | ▲1,000 |
誰が見ても「赤字会社」です。
もし「販管費」の中に「投資」が、1,500含まれているとすれば「事業は黒字だけど、積極的な投資で赤字」が実態です。
「投資額が分からない」に加えて
「本来の業績も分からない」という状態。
これでは「投資回収の把握」も怪しいもんです。
「残念やなあ」と思います。
売上で回収した錯覚



投資回収できた?



うん、バッチリ!
よく聞くと、
「3,000万円の広告投資」をして、
「売上が5,000万円アップ」とのこと。
限界利益率が30%だとすると、まだ半分しか回収してない。
投資回収を売上高で考えてる、という残念なケース。
意外と思うかもしれませんが、このケース、少なくないです。
回収意識が希薄
私に言わせれば「不思議な投資」。
気になります。



どう?投資効果は?



たぶん、大丈夫!



「たぶん?」ってナンやねん!
「手段である投資」が、
「目的化」してしまっている。
特に「広告投資」に、この手の話が多いです。
「広告しないと、売上が止まるから」
「広告の効果測定」をやってないんですね。
このケース、私は「いじわる」なので…



広告を止めてみよう!
売上がどこまで落ちるか見てみたい!
…と「提案」することにしています(笑)。
【攻め視点】
「どれだけ投資できるか?」
投資は
「少なすぎても、多すぎてもリスク」です。
少なすぎれば機会を逃し、
多すぎれば体力を削ります。
「投資力」を正しく把握することが必要です。
その指標となるのがMA損益計算書の「創造付加価値」。
MA損益計算書
| 売上高 | 5,000 |
| 限界利益 | 2,000 |
| 事業コスト | 1,000 |
| 創造付加価値 | 1,000 |
| 経営コスト | 500 |
| 事業利益 | 500 |
このサンプルであれば、
創造付加価値/限界利益=50%。
目安である30%を超えています。
「余力は20%=400」です。
「400の投資」をしても「黒字キープ」ですね。
もちろん「今がチャンス!もっと必要」というケースは多々あります。
仮に「1,000の投資」をすれば、「赤字」になりますが、一般の損益計算書では「紛れ込んでしまう投資」も、この「MA損益計算書」と比較すると、より正しく理解できると思います。
損益計算書
| 売上高 | 5,000 |
| 売上総利益 | 2,000 |
| 販管費 | 2,500 |
| 営業利益 | ▲500 |
MA損益計算書
| 売上高 | 5,000 |
| 限界利益 | 2,000 |
| 事業コスト | 1,000 |
| 創造付加価値 | 1,000 |
| 経営コスト 投資コスト | 500 1,000 |
| 事業利益 | ▲500 |
「投資チャンス!」で、大きな先行投資をする際にも、この「創造付加価値」が「大きすぎないか?」の判断指標となります。
このケースでは「1年分の創造付加価値:1,000」を全額投資した、という見方です。
「1年分なら、失敗しても大丈夫か?」と「経営判断」することができます。



失敗したら「社長が責任を取って2年間タダ働き」すればいい(笑)
…ってことが「MA損益計算書」なら見えるでしょ?
【計画投資】
投資予算をどう設定するか?
「創造付加価値」を
「どう配分するか?」が、
「投資予算」です。
「創造付加価値:30」として、3つのパターンで考えてみましょう。
| Ptn:1 投資なし | Ptn:2 投資優先 | Ptn:3 内部留保に配慮 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ***** | ***** | ***** |
| 限界利益 | 100 | 100 | 100 |
| 創造付加価値 | 30 | 30 | 30 |
| 経営コスト | 10 | 10 | 5 |
| 事業利益 (投資前) | 20 | 20 | 25 |
| 投資コスト | 0 | 20 | 20 |
| 事業利益 (投資後) | 20 | 0 | 5 |
Ptn:2は「投資優先」。
今期の事業利益は「トントン」になるので、内部留保は増減しません。
Ptn:3は「内部留保に配慮」。
経営コストを半減して、投資の一部に回し「5」の内部留保を確保。
これは「正解・不正解」の話ではありません。
「計画投資」をするときに
「管理会計をどう活用するか?」のサンプル。
この「試算」をしてからGO!するか?
それとも「カン」と「根性」でGO!するか?
それも「経営判断」です。
【期待成果】
何に投資するか?
中小企業において、必要と思われる主な投資テーマを、大きく4つに分類しておきます。
- 「何に投資すべきか?」
- 「どの投資が手薄か?」
- 「投資をどう振り分けるか?」
そのチェックリストとして参考にしてください。
- 売上拡大投資
- 新市場
- 新商品
- 新顧客開拓
- 限界利益率アップ投資
- 生産性改善
- 仕入ルート開拓
- 値上げのための施策
- 人的コスト適正化投資
- 採用
- 育成
- 評価や分配の仕組み
- 経営力強化投資
- 資金力
- リスク耐性
- 経営者自身の自己投資
【実務準備】
「見える化」する勘定科目
「管理会計」では、
「事業コスト」に
「投資」が紛れ込んでしまわないように
「勘定科目を新設」します。
サンプルを示すので参考にしてください。
ネーミングのコツは「費用」ではなく「投資」とすることです。
| 事業コストの科目 | 投資コストの科目 |
|---|---|
| 広告宣伝費 | 新市場開拓投資 |
| 外注費 | 生産性改善投資 |
| 採用費 | 人材開発投資 |
| 研修費 | カルチャー構築投資 |
| 雑費 | 付加価値拡大投資 |
上述したように「事業コスト」と「投資コスト」が混在していると、投資額が正確に把握できません。
「投資が把握できない」ことは
「回収が把握できない」ことでもあります。



下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる?
当たったかどうか分からんやん!
【守り視点】
「内部留保のデッドライン」
ここまでは「攻め視点」。
次は「守り視点」。
「万が一」に備えましょう。
「失敗した時のダメージ予測」です。
ご承知の通り
「PL:赤字」で
「BS:実質純資産」が減ります。
「BS:実質純資産」を使い切って「マイナス」になれば「債務超過」に陥ります。
「債務超過」が悪いとは言いません。
「投資が大当たりすれば、一発回収!」も夢ではないからです。
それも「経営判断」。



社長は「ヒリヒリ」と楽しいかもしれないけど、
会社に関わる社内外の人たちは「ヒヤヒヤ」…
でも「実質純資産=内部留保」を確認せずに「投資」する、という「経営判断」はありません。
「実質純資産」を確認したうえで「経営判断」をする。
お忘れなきよう!
【回収管理】
2つの「分岐点」
「投資」したら
「回収できているか?」のモニタリング。
そのために、2つの分岐点を紹介します。
投資回収分岐点
投資額を回収してトントンの点です。
例えば
「1,000万円の投資」をして
「1,000万円の限界利益」が追加計上できれば
「分岐点クリア」という指標です。
期待分岐点
投資の期待値です。
その投資で、どれだけのリターンが欲しいのか?
「1,000万円の投資」で
「2,000万円の利益」を期待するなら
「3,000万円の限界利益」が必要です。
時間軸
「計画投資」において、この「投資回収分岐点」と「期待分岐点」を時間軸に落とし込むことがとても大切です。
「この投資は、何年で回収するか?」
「この投資で、何年で期待を超えるか?」
「予算管理」に欠かせない指標になります。



「いつかやろうは、**野郎!」
【要点整理】
「管理会計」で「計画投資」
さて、どうでしょう?
カンと根性と夢で投資するか?
管理会計で投資をマネジメントするか?
この視点を紹介しました。
ポイントを整理します。
- 投資とは「将来のための先行支出」であること
- 「創造付加価値」で投資余力を把握すること
- 「投資予算」をシミュレーションすること
- 勘定科目を新設して「見える化」すること
- 「BS:実質純資産」で「守りの視点」を忘れないこと
- 「投資回収分岐点」と「期待分岐点」を「時間軸」に落とし込むこと
以上、お役に立ちますように!








