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先行投資|投資余力と回収分岐点の管理会計的視点

2026 3/18
2026年3月22日
H.HORII

会社の将来のための投資。
大きなリターンを期待してする投資。
ハラをくくって攻めるぞ~!

「10人~200人規模の中小企業経営者」の「自己投資=経営脳トレーニングのサポート」を目的に、「もっといい経営者」「もっといい会社」に成長するためのヒントを日々更新しています。
元税理士のマネジメントコーチ・堀井弘三が、40年近くの経験と知識に基づき執筆しています。

「投資」してますか?

「投資」と言っても、金融商品や不動産の話ではありません。

「会社の将来のための先行支出」です。

私は、クチグセのように「内部留保を貯めよう!」と言うので、「誤解」されることがあります。

そんな「守りの経営」ではダメだ!

「守りの経営」なんて、一言も言ってない!

「内部留保しよう」が
「使わずに貯めよう」に聞こえてるんですね。

ここは
「誤解してる!」と他責にするのではなく
「伝え方が悪い」と自責で反省して
「管理会計の視点で投資の話」を整理します。

「将来のための投資」を
「攻める視点」と「守る視点」で。

INDEX

【定義確認】
「成功」のための「先行支出」

あらためて「投資とは?」。

「成功のための先行支出」のこと。

「投資判断」には「やらない」も含まれます。

「投資」をしなくても
「成功」できるなら、必要ありません。

でも
「成功」のために必要なら「投資する」。

「投資とは?」、言い換えれば、
「成功のために、意図して仕掛ける」ことです。

「成功=ありたい状態」のための先行支出が「投資」です。

【残念事例】
中小企業における投資の現状

まず、40年近く中小企業の現場を見てきて、よく目にする「気になる投資」を3つピックアップします。

投資額を把握していない

将来投資はしてないの?

ちゃんと投資してるよ!

どれくらい?
PLに出てないよ。

たしかに「投資してる」のでしょう。

でも「どれだけ投資しているか?」を把握してない。

投資コストが、他のコストに紛れていて分からない、という状態です。

PLを見ると、こんな感じです。

損益計算書

売上高5,000
売上総利益2,000
販管費3,000
営業利益▲1,000

誰が見ても「赤字会社」です。

もし「販管費」の中に「投資」が、1,500含まれているとすれば「事業は黒字だけど、積極的な投資で赤字」が実態です。

「投資額が分からない」に加えて
「本来の業績も分からない」という状態。

これでは「投資回収の把握」も怪しいもんです。

「残念やなあ」と思います。

売上で回収した錯覚

投資回収できた?

うん、バッチリ!

よく聞くと、
「3,000万円の広告投資」をして、
「売上が5,000万円アップ」とのこと。

限界利益率が30%だとすると、まだ半分しか回収してない。

投資回収を売上高で考えてる、という残念なケース。

意外と思うかもしれませんが、このケース、少なくないです。

回収意識が希薄

私に言わせれば「不思議な投資」。

気になります。

どう?投資効果は?

たぶん、大丈夫!

「たぶん?」ってナンやねん!

「手段である投資」が、
「目的化」してしまっている。

特に「広告投資」に、この手の話が多いです。

「広告しないと、売上が止まるから」

「広告の効果測定」をやってないんですね。

このケース、私は「いじわる」なので…

広告を止めてみよう!
売上がどこまで落ちるか見てみたい!

…と「提案」することにしています(笑)。

【攻め視点】
「どれだけ投資できるか?」

投資は
「少なすぎても、多すぎてもリスク」です。

少なすぎれば機会を逃し、
多すぎれば体力を削ります。

「投資力」を正しく把握することが必要です。

その指標となるのがMA損益計算書の「創造付加価値」。

MA損益計算書

 売上高 5,000
 限界利益 2,000
事業コスト1,000
 創造付加価値 1,000
経営コスト500
 事業利益 500

このサンプルであれば、

創造付加価値/限界利益=50%。

目安である30%を超えています。

「余力は20%=400」です。

「400の投資」をしても「黒字キープ」ですね。

もちろん「今がチャンス!もっと必要」というケースは多々あります。

仮に「1,000の投資」をすれば、「赤字」になりますが、一般の損益計算書では「紛れ込んでしまう投資」も、この「MA損益計算書」と比較すると、より正しく理解できると思います。

損益計算書

 売上高 5,000
 売上総利益 2,000
販管費2,500
 営業利益 ▲500

MA損益計算書

 売上高 5,000
 限界利益 2,000
事業コスト1,000
 創造付加価値 1,000
経営コスト
投資コスト
500
1,000
 事業利益 ▲500

「投資チャンス!」で、大きな先行投資をする際にも、この「創造付加価値」が「大きすぎないか?」の判断指標となります。

このケースでは「1年分の創造付加価値:1,000」を全額投資した、という見方です。

「1年分なら、失敗しても大丈夫か?」と「経営判断」することができます。

失敗したら「社長が責任を取って2年間タダ働き」すればいい(笑)
…ってことが「MA損益計算書」なら見えるでしょ?

【計画投資】
投資予算をどう設定するか?

「創造付加価値」を
「どう配分するか?」が、
「投資予算」です。

「創造付加価値:30」として、3つのパターンで考えてみましょう。

Ptn:1
投資なし
Ptn:2
投資優先
Ptn:3
内部留保に配慮
売上高***************
限界利益100100100
 創造付加価値 30 30 30
経営コスト10105
 事業利益
(投資前)
 20 20 25
投資コスト02020
 事業利益
(投資後)
 20 0 5

Ptn:2は「投資優先」。

今期の事業利益は「トントン」になるので、内部留保は増減しません。

Ptn:3は「内部留保に配慮」。

経営コストを半減して、投資の一部に回し「5」の内部留保を確保。

これは「正解・不正解」の話ではありません。

「計画投資」をするときに
「管理会計をどう活用するか?」
のサンプル。

この「試算」をしてからGO!するか?

それとも「カン」と「根性」でGO!するか?

それも「経営判断」です。

【期待成果】
何に投資するか?

中小企業において、必要と思われる主な投資テーマを、大きく4つに分類しておきます。

  • 「何に投資すべきか?」
  • 「どの投資が手薄か?」
  • 「投資をどう振り分けるか?」

そのチェックリストとして参考にしてください。

  • 売上拡大投資
    • 新市場
    • 新商品
    • 新顧客開拓
  • 限界利益率アップ投資
    • 生産性改善
    • 仕入ルート開拓
    • 値上げのための施策
  • 人的コスト適正化投資
    • 採用
    • 育成
    • 評価や分配の仕組み
  • 経営力強化投資
    • 資金力
    • リスク耐性
    • 経営者自身の自己投資

【実務準備】
「見える化」する勘定科目

「管理会計」では、
「事業コスト」に
「投資」が紛れ込んでしまわないように
「勘定科目を新設」します。

サンプルを示すので参考にしてください。

ネーミングのコツは「費用」ではなく「投資」とすることです。

事業コストの科目投資コストの科目
広告宣伝費新市場開拓投資
外注費生産性改善投資
採用費人材開発投資
研修費カルチャー構築投資
雑費付加価値拡大投資

上述したように「事業コスト」と「投資コスト」が混在していると、投資額が正確に把握できません。

「投資が把握できない」ことは
「回収が把握できない」ことでもあります。

下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる?
当たったかどうか分からんやん!

【守り視点】
「内部留保のデッドライン」

ここまでは「攻め視点」。

次は「守り視点」。

「万が一」に備えましょう。

「失敗した時のダメージ予測」です。

ご承知の通り
「PL:赤字」で
「BS:実質純資産」が減ります。

「BS:実質純資産」を使い切って「マイナス」になれば「債務超過」に陥ります。

「債務超過」が悪いとは言いません。

「投資が大当たりすれば、一発回収!」も夢ではないからです。

それも「経営判断」。

社長は「ヒリヒリ」と楽しいかもしれないけど、
会社に関わる社内外の人たちは「ヒヤヒヤ」…

でも「実質純資産=内部留保」を確認せずに「投資」する、という「経営判断」はありません。

「実質純資産」を確認したうえで「経営判断」をする。

お忘れなきよう!

【回収管理】
2つの「分岐点」

「投資」したら
「回収できているか?」のモニタリング。

そのために、2つの分岐点を紹介します。

投資回収分岐点

投資額を回収してトントンの点です。

例えば
「1,000万円の投資」をして
「1,000万円の限界利益」が追加計上できれば
「分岐点クリア」という指標です。

期待分岐点

投資の期待値です。

その投資で、どれだけのリターンが欲しいのか?

「1,000万円の投資」で
「2,000万円の利益」を期待するなら
「3,000万円の限界利益」が必要です。

時間軸

「計画投資」において、この「投資回収分岐点」と「期待分岐点」を時間軸に落とし込むことがとても大切です。

「この投資は、何年で回収するか?」

「この投資で、何年で期待を超えるか?」

「予算管理」に欠かせない指標になります。

「いつかやろうは、**野郎!」

【要点整理】
「管理会計」で「計画投資」

さて、どうでしょう?

カンと根性と夢で投資するか?

管理会計で投資をマネジメントするか?

この視点を紹介しました。

ポイントを整理します。

  • 投資とは「将来のための先行支出」であること
  • 「創造付加価値」で投資余力を把握すること
  • 「投資予算」をシミュレーションすること
  • 勘定科目を新設して「見える化」すること
  • 「BS:実質純資産」で「守りの視点」を忘れないこと
  • 「投資回収分岐点」と「期待分岐点」を「時間軸」に落とし込むこと

以上、お役に立ちますように!

4部-活用編
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この記事を書いた人

H.HORIIのアバター H.HORII マネジメントコーチ

思考のスパーリング・パートナー

もっとエエ会社にしたいなら、
もっとエエ経営者になればええねん!

これが口ぐせ。

1999年に税理士事務所を創業し、
勤務時代も含めると約40年近く
300人を超える中小企業経営者の
成功と失敗を特等席で見てきた
「超実務家」。
2022年に幸せな事業承継を遂げ、
自ら「経営の入り口から出口まで完走」。

現在はマネジメント・コーチとして、
20〜40代の次世代経営者を
「あおって、いやして、元気づけて」
パフォーマンスを最適化するのが仕事。
その現場で得た「もっとよくなるヒント」を
惜しみなく日々発信中。

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